いつも分譲マンションの共用部管理のお話をしていますが、一応不動産仲介業の経験もありますので、今回は趣向を変えて不動産賃貸業についてお話しします!
みなさんは、賃貸で家を借りようを思った時、
「仲介を入れずに管理会社と直接契約した方が安くなる」
「管理会社と直接契約すれば仲介手数料はかからない」
「仲介会社を入れると余分に費用がかかる」
といったお話を聞いたことはありませんか?
結論から言うと、
これ全部間違いです。笑
今回は、
- 管理会社と直接賃貸借の契約をしても安くならない理由
- そもそも賃貸物件の契約にかかる費用って何?
- 賃貸物件の契約で費用を安く抑える方法
についてお話ししたいと思います!
管理会社と直接賃貸借の契約をしても安くはならない
先に結論を申し上げてしまいましたが、管理会社に行って直接賃貸の契約をしたからといって費用が安くなることはありません。
このような都市伝説が生まれた理由として考えられるのは2つ。
- 「仲介」という言葉の響きからなんとなくマージンを抜かれている気分になる。
- 仲介手数料を稼ぎたい「仲介業もやっている管理会社」の戦略。
①はそのまんま、「仲介」してもらうのにお金がかかるのなら、直接借りれば仲介手数料払わなくて良いんじゃね?という推測のもとに生まれた妄想。
そんな妄想を打ち砕くのが②のパターン。
そう、管理会社に直接行って契約しても、管理会社に仲介手数料は取られます(=支払う先が仲介会社から管理会社に変わるだけ)。
仲介会社が間に入った場合、仲介手数料は仲介会社に支払われますが、仲介会社が間に入らず、借主が直接「仲介業もやっている管理会社」に来た場合、管理会社が仲介手数料を貰えるので、管理会社としては借主に直接来てもらった方が都合が良いわけです。
賃貸物件の契約をする際にかかる費用
賃貸物件の契約をする際にかかる費用は、
- 仲介手数料(賃料の1ヶ月分が上限)
- 敷金(賃料の1~2ヶ月分くらい)
- 礼金(賃料の1~2ヶ月分くらい)
- 賃料(家賃。契約時に1~2ヶ月分くらい前払い)
- 火災保険料(1人暮らしなら年間1万円、2年分で2万円くらい)
- 鍵交換代・清掃費・消臭代等、管理会社が何とか売上upのために知恵を絞った面々
だいたいこんな感じです。
保証料やら消火器代やらあんしんサポートほげほげとかも最後の面々に含まれます。
一般的にはこれらの総額が賃料(家賃)の4~4.5倍の範囲内であれば適正金額と言えます。
逆にこれを超えるようであれば管理会社にぼったくられている可能性が高いと考えた方が良いでしょう。
で、これらの費用は法律か何かで決められているわけではないので、
「礼金なしにして」とか、「家賃あと3,000円下げて」とか交渉しても良いわけです。
但し相手はプロですから、減額交渉するならそれなりの知識とテクニックは必要になります。
管理会社と仲介会社、どちらに依頼しても仲介手数料はかかる
最初にお話しした通り、管理会社に行って直接賃貸の契約をしても、支払先が仲介会社から管理会社に変わるだけです。
そのため、「ただ直接管理会社に行ったから支払わなくてよくなる費用」というのは基本的にありません。
どうせ支払うのですから、仲介会社にきちんと仲介手数料を支払って
- 礼金(賃料の1~2ヶ月分くらい)
- 賃料(家賃。契約時に1~2ヶ月分くらい前払い)
- 火災保険料(1人暮らしなら年間1万円、2年分で2万円くらい)
- 鍵交換代・清掃費・消臭代等、管理会社が何とか売上upのために知恵を絞った面々
このあたりの減額交渉をしてもらった方がメリットがあると思います。
管理会社と直接契約するより「良い仲介」を入れるべき
ここまでのお話しでだいたいおわかりかと思いますが、賃貸物件の契約にかかる費用を安くしたいのであれば、管理会社と直接契約しようとするよりも、
「借主の立場に立って物件を探してくれたり、管理会社と交渉してくれる『信頼できる仲介』を入れる」
方が遥かに効果的です。
AD(大家や管理会社からのバックマージン)目当てでクソ物件に客を流すだけのチンピラ仲介会社のせいで仲介手数料が「なんとなく無駄なお金を払っている」と錯覚している人が多いのですが、本来の不動産仲介はそういう仕事ではありません。
海千山千の知識豊富な大家と管理会社に対し、一般の借主はどうしても弱い立場。
その知識レベルが不均衡な状態で契約すると、借主に不利な契約をさせられてしまう可能性が非常に高くなります。
そういった不均衡を解消するため、借主の立場で物件探しや条件面の交渉を行うのが仲介会社の役割です。
賃貸物件を探す時は、「信頼できる仲介」を入れるようにしましょう!
管理会社の「仲介手数料0円」のカラクリ
駅前の不動産屋の看板やテレビのCMで、
「仲介手数料0円!」
という謳い文句を見て「じゃあどこで儲けてるの?」と疑問に思ったことはありませんか?
確かに、管理会社の収益の柱はオーナー(大家さん)からの管理委託費であって、仲介業はメイン事業じゃないから、というのもあるかもしれませんが、実はそれだけではありません。
管理会社が仲介手数料を0円にできる理由は、AD(「広告料」と称したオーナーからのバックマージン)があるからです。
要は、オーナーさんが管理会社や仲介会社に「ウチの物件に入居させてくれたらお礼にマージン払いますよ」と持ち掛けているわけです。
ADの額はだいたい賃料(家賃)の50%~200%くらいで、不動産屋に行くと提示される物件情報(通称マイソク)の下の方の「帯」に記載されていますが、お客さんに出す時はこの部分が消されているか改ざんされています。
「でも安くなるなら別にいいんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、管理会社の立場からすればこのような「AD物件」を契約させた方が儲かるわけですから、「お客様が希望する条件の物件」よりも「AD物件」を優先的に提案してきます。
で、「AD物件」がどのような物件かというと、「管理会社にバックマージンを払いでもしないと借り手が付かない不人気物件」であることが多いです。
「仲介手数料0円」を謳っている不動産屋は、自分が希望する条件の物件があってもそれを隠して「AD物件」(つまり、不人気物件)ばかりを提示してくる可能性が高いと思っておきましょう。
管理会社と直接賃貸借の契約まとめ
今回は共用部管理ではなく、賃貸物件の契約についてお話ししましたが、いかがでしたでしょうか。
なんとなく管理会社に直接行って賃貸の契約をした方が安くなるような気がしますが、実際には仲介手数料もかかりますし、仲介を入れないと管理会社に有利な条件で契約をしてしまい、結果的に相場より高くつく可能性もあります。
自分で管理会社と対等に交渉できる自身のある方は直接契約しても良いと思いますが、そうでない方は信頼できる仲介会社や営業マンに仲介手数料を支払って仲介してもらった方が結果的に費用が安くなりやすいです。
ぜひ、「信頼できる仲介」を探してみてくださいね~