今回は、どのような問題意識があって、どのように変わるのかについておさらいしようか!
2026年(令和8年)4月からいよいよ施行される改正区分所有法。
皆様はもうお読みになられたでしょうか。
- 区分所有法が改正されるけど、実務上気を付けなければならないポイントがわからない
- 区分所有法がどう変わるのか理事会で質問されたけど回答が難しい
- 区分所有法改正で独裁のリスクが加速するって聞いたけど本当?
このような疑問をお持ちの方も多いはず。
そこで今回は、法制審での問題意識を踏まえ、何のために・どこがどう変わったのか解説します。
その場合は法律の方が優先され、抵触する部分については規約の方が無効となるため、そのままでも問題ないと言えば問題ないのですが、法律に反することが書かれたままというのは不毛な諍いの原因になりかねませんから、「2026年4月までに絶対に規約改定をしておけとまでは言わないけど、なるべく早いうちに最新の標準管理規約に準拠しておいた方がよい」というのが私の意見です。
改正区分所有法(2026年(令和8年)施行)の問題意識
区分所有法改正で具体的にどの条文が変わったのか、運用がどう変わるのかを見ていく前に、何故区分所有法を改正する必要があったのか?という背景・問題意識の確認から。
まず、今回の区分所有法改正は、
- 区分所有建物の管理の円滑化
- 区分所有建物の再生の円滑化
- 団地の管理・再生の円滑化
という大きく分けて3つの柱があり、その3つの柱の中に、複数の小項目があります。
※法制審の要綱案では④被災区分所有建物の再生の円滑化まで記載がありますが、こちらは区分所有法ではなく被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(被災区分所有法・被災マンション法)の話なので一旦脇に置きます。また、②③についても建物敷地売却や建物取壊し敷地売却、取壊し、全部滅失した場合の再建制度や敷地売却制度等、日常の管理とは直接関係しない論点がほとんどなので、今回の記事では第一の柱である「区分所有建物の管理の円滑化」に絞って解説します。②③については「出口として建替え以外の選択肢が拡充された」と認識しておけばひとまずOKです。
②③のマンション再生に関する論点として、法制審議事録に法務省関係官の以下のコメントがあります。
「一棟リノベーション工事についてですけれども、この工事手法は老朽化した区分所有建物の再生の方法の一つと考えられています。区分所有建物の構造にもよりますが、この方法は、共用部分に加えて専有部分も対象として、スケルトン状態にした上で必要な工事を行うことで、建替えと同様の効果を得ることができるものとされています。このような工事手法による場合には、一般に建替え工事よりも工事費用を抑えることができ、廃棄物の発生も抑えることができるといったメリットがあると指摘されています。
このような工事手法は、現状の区分所有法では、建物を取り壊さない工事手法であるために建替えには該当せず、そのため、全ての専有部分に手を入れる以上、区分所有者全員の同意が必要と考えられています。しかし、建替えと同様の効果を得ることができる、加えて費用も一定程度抑えることができるにもかかわらず、建替え決議よりも決議要件が重いことにもなりますので、こういった一棟リノベーション工事についても再生の手法として建替え決議と同様の多数決によって行うことを可能としてはどうかということで取り上げております」
今回の法改正の背景にはこういった問題意識があるわけです。
法制審議会の議事録を読んでいくとどのような議論がなされたのか書かれていますが、全部読むのは時間がかかると思いますので、令和6年1月16日の区分所有法制見直しに関する要綱案から問題意識・背景となる小項目を抜粋します。
第一の柱 区分所有建物管理の円滑化
1.集会決議の円滑化
(1)所在等不明区分所有者を集会の決議の母数から除外する仕組み
(2)出席者の多数決による決議を可能とする仕組み
(3)専有部分の共有者による議決権行使者の指定
2.区分所有建物の管理に特化した財産管理制度
(1)所有者不明専有部分管理制度
(2)管理不全専有部分管理制度
(3)管理不全共用部分管理制度
3.共用部分の変更決議及び復旧決議の多数決要件の緩和
(1)共用部分の変更決議
(2)復旧決議
4.管理に関する区分所有者の義務(区分所有者の責務)
5 専有部分の保存・管理の円滑化
(1) 他の区分所有者の専有部分の保存請求
(2) 専有部分の使用等を伴う共用部分の管理(配管の全面更新等)
(3) 管理組合法人による区分所有権等の取得
(4) 区分所有者が国外にいる場合における国内管理人の仕組み
6 共用部分等に係る請求権の行使の円滑化
7 管理に関する事務の合理化(規約の閲覧方法のデジタル化)
8 区分所有建物が全部滅失した場合における敷地等の管理の円滑化
法制審の議事録を見てもわかるとおり、法学者の先生方を中心に、区分所有者個々の権利を安易に侵してはならない(大意)と言う主張が根強くあります。
一方、実務においては一部の無関心・非協力的な区分所有者によって集会(総会)が成立しないとか、特別多数決議が可決できないといった看過しがたい実害がしばしば発生していました。
いくら区分所有者個々の権利を守ると言っても、他の区分所有者に不利益を与えてまで無制限に権利の主張が許されたんじゃマンションという共同体が成り立たないでしょ、ということで統治する側=管理組合の団体としての統治がしやすいようにパワーバランスの調整がされた、という背景を頭に入れながら読むとわかりやすいかもしれません。
区分所有法の具体的な改正内容
第1条から条番号順にどこが変わったかについては法務省のページに新旧対照表がありますからこちらをご確認いただければよろしいかと思いますので、この記事では上記1~8の小項目に対応して具体的にどの条文が改正・新設されたのか解説していきます。
1.集会決議の円滑化
(1) 所在等不明区分所有者を集会の決議の母数から除外する仕組み(新設・第38条の2)
裁判所は、区分所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、当該区分所有者(次項において「所在等不明区分所有者」という。)以外の区分所有者(以下この項及び第三項において「一般区分所有者」という。)又は管理者の請求により、一般区分所有者による集会の決議をすることができる旨の裁判をすることができる。
2 前項の裁判により所在等不明区分所有者であるとされた者は、前条の規定にかかわらず、集会における議決権(当該裁判に係る建物が滅失したときは、当該建物に係る敷地利用権を有する者又は当該建物の附属施設(これに関する権利を含む。)の共有持分を有する者が開く集会における議決権)を有しない。
3 一般区分所有者の請求により第一項の裁判があつたときは、当該一般区分所有者は、遅滞なく、管理者にその旨を通知しなければならない。ただし、管理者がないときは、その旨を建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。
従来、特別多数決議においては「区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による」決議が必要とされていました。
ここでいう「各四分の三」の母数は(総会に参加していない人も含めた)全ての区分所有者及び議決権なので、区分所有者が誰なのかわからなかったり、住所(連絡先)がわからない人が四分の一以上いた場合、その他の人たち全員が賛成していたとしてもその時点で特別多数決議は可決することが不可能となります。
これではマンションの管理組合運営に大きな支障を来しますから、他の条文の改正により集会(総会)の定足数を定める(従来、標準管理規約では「議決権総数の半数以上」という定めがあったが、区分所有法には定足数の定めは無かった)と共に、所在等不明の区分所有者については裁判所に請求して母数から除外できる規定が新設されました。
但し、改正区分所有法では普通決議も新たな特別多数決議も「出席者」を基準にすることとなったため敢えて除外する意味はほとんど無く、第62条や第64条の5・6・7・8の建替え・建物敷地売却・取壊し関連(団地での準用含む)での利用が想定されます。
尚、この後出てきますが「議決権を有しないもの」には新設された第52条の2の規定により管理組合法人が区分所有権を取得した場合も含まれます。
(2) 出席者の多数決による決議を可能とする仕組み(第39条)
集会の議事は、この法律又は規約に別段の定めがない限り、出席した区分所有者(議決権を有しないものを除く。)及びその議決権の各過半数で決する。
2 議決権は、書面又は代理人によつても行使することができる。この場合において、書面又は代理人によつて議決権を行使した区分所有者の数は出席した区分所有者の数に、当該議決権の数は出席した区分所有者の議決権の数に、それぞれ算入する。
3 区分所有者は、規約又は集会の決議により、前項の規定による書面による議決権の行使に代えて、電磁的方法によつて議決権を行使することができる。この場合においては、電磁的方法による議決権の行使を書面による議決権の行使とみなして、同項後段の規定を適用する。
従来、区分所有法には集会(総会)の定足数の規定は無く、「区分所有者及び議決権の各過半数で決する」とされていました。
但し「この法律又は規約に別段の定めがない限り」という留保があったため、これを受けて標準管理規約で普通決議に関しては「出席組合員の議決権の過半数で決する」という規定が設けられていました。
改正区分所有法では、「この法律の別段の定め」として、第17条、第31条、第47条、第52条の2、第58条等のいわゆる特別多数決議事項に関しては、区分所有者(議決権を有しないものを除く。以下●●において同じ。)の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)の者であつて議決権の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各四分の三以上の多数による決議によつてするという規定が追加され、決議を成立させるための事実上の集会の定足数が区分所有法の側で設けられました。
また、普通決議に関しては「出席した区分所有者(議決権を有しないものを除く。)及びその議決権の各過半数」で決することとされましたが、最新の標準管理規約第47条2項では「総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。」とされているため、標準管理規約に準拠していれば定足数が「半数以上」から「過半数」に変更にはなっていますが決議要件自体は従前とほぼ変わりません。
これにより、特別多数決議についても、「区分所有者及び議決権の過半数」という事実上の定足数の要件を満たせば、出席した区分所有者及び議決権の四分の三以上の多数で可決できるようになりました。
(3)専有部分の共有者による議決権行使者の指定(第40条)
専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数をもつて、議決権を行使すべき者一人を定めなければならない。
従前から存在した規定ですが、改正区分所有法では「各共有持分の価格に従い、その過半数をもって」定めるとし、議決権を行使すべき者を定める方法が明文化されました。
2.区分所有建物の管理に特化した財産管理制度
(1) 所有者不明専有部分管理制度(新設・第46条の2~7。裁判手続きについては第86~90条)
裁判所は、区分所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない専有部分(専有部分が数人の共有に属する場合にあつては、共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない専有部分の共有持分)について、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、その請求に係る専有部分又は共有持分を対象として、所有者不明専有部分管理人(第四項に規定する所有者不明専有部分管理人をいう。第三項において同じ。)による管理を命ずる処分(以下「所有者不明専有部分管理命令」という。)をすることができる。
2 所有者不明専有部分管理命令の効力は、当該所有者不明専有部分管理命令の対象とされた専有部分(共有持分を対象として所有者不明専有部分管理命令が発せられた場合にあつては、共有物である専有部分)又は共用部分、附属施設若しくは建物の敷地にある動産(当該所有者不明専有部分管理命令の対象とされた専有部分の区分所有者又は共有持分を有する者が所有するものに限る。)並びに共用部分及び附属施設に関する権利並びに敷地利用権(いずれも当該所有者不明専有部分管理命令の対象とされた専有部分の区分所有者又は共有持分を有する者が有するものに限る。)に及ぶ。
3 所有者不明専有部分管理命令は、所有者不明専有部分管理命令が発せられた後に当該所有者不明専有部分管理命令が取り消された場合において、当該所有者不明専有部分管理命令の対象とされた専有部分又は共有持分並びに当該所有者不明専有部分管理命令の効力が及ぶ動産並びに共用部分及び附属施設に関する権利並びに敷地利用権の管理、処分その他の事由により所有者不明専有部分管理人が得た財産について、必要があると認めるときも、することができる。
4 裁判所は、所有者不明専有部分管理命令をする場合には、当該所有者不明専有部分管理命令において、所有者不明専有部分管理人を選任しなければならない。
前条第四項の規定により所有者不明専有部分管理人が選任された場合には、所有者不明専有部分管理命令の対象とされた専有部分又は共有持分並びに所有者不明専有部分管理命令の効力が及ぶ動産並びに共用部分及び附属施設に関する権利並びに敷地利用権並びにこれらの管理、処分その他の事由により所有者不明専有部分管理人が得た財産(以下「所有者不明専有部分等」という。)の管理及び処分をする権利は、所有者不明専有部分管理人に専属する。
2 所有者不明専有部分管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。ただし、この許可がないことをもつて善意の第三者に対抗することはできない。
一 保存行為
二 所有者不明専有部分等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
所有者不明専有部分管理命令が発せられた場合には、所有者不明専有部分等に関する訴えについては、所有者不明専有部分管理人を原告又は被告とする。
2 所有者不明専有部分管理命令が発せられた場合には、所有者不明専有部分等に関する訴訟手続で当該所有者不明専有部分等の所有者(その共有持分を有する者を含む。第五項において同じ。)を当事者とするものは、中断する。
3 前項の規定により中断した訴訟手続は、所有者不明専有部分管理人においてこれを受け継ぐことができる。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。
4 所有者不明専有部分管理命令が取り消されたときは、所有者不明専有部分管理人を当事者とする所有者不明専有部分等に関する訴訟手続は、中断する。
5 所有者不明専有部分等の所有者は、前項の規定により中断した訴訟手続を受け継がなければならない。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。
所有者不明専有部分管理人は、所有者不明専有部分等の所有者(その共有持分を有する者を含む。)のために、善良な管理者の注意をもつて、その権限を行使しなければならない。
2 数人の者の共有持分を対象として所有者不明専有部分管理命令が発せられたときは、所有者不明専有部分管理人は、当該所有者不明専有部分管理命令の対象とされた共有持分を有する者全員のために、誠実かつ公平にその権限を行使しなければならない。
所有者不明専有部分管理人がその任務に違反して所有者不明専有部分等に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人の請求により、所有者不明専有部分管理人を解任することができる。
2 所有者不明専有部分管理人は、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。
所有者不明専有部分管理人は、所有者不明専有部分等から裁判所が定める額の費用の前払及び報酬を受けることができる。
2 所有者不明専有部分管理人による所有者不明専有部分等の管理に必要な費用及び報酬は、所有者不明専有部分等の所有者(その共有持分を有する者を含む。)の負担とする。
(2) 管理不全専有部分管理制度(新設・第46条の8~12)
裁判所は、区分所有者による専有部分の管理が不適当であることによつて他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、当該専有部分を対象として、第三項に規定する管理不全専有部分管理人による管理を命ずる処分(以下「管理不全専有部分管理命令」という。)をすることができる。
2 管理不全専有部分管理命令の効力は、当該管理不全専有部分管理命令の対象とされた専有部分又は共用部分、附属施設若しくは建物の敷地にある動産(当該管理不全専有部分管理命令の対象とされた専有部分の区分所有者又はその共有持分を有する者が所有するものに限る。)並びに共用部分及び附属施設に関する権利並びに敷地利用権(いずれも当該管理不全専有部分管理命令の対象とされた専有部分の区分所有者又はその共有持分を有する者が有するものに限る。)に及ぶ。
3 裁判所は、管理不全専有部分管理命令をする場合には、当該管理不全専有部分管理命令において、管理不全専有部分管理人を選任しなければならない。
管理不全専有部分管理人は、管理不全専有部分管理命令の対象とされた専有部分並びに管理不全専有部分管理命令の効力が及ぶ動産並びに共用部分及び附属施設に関する権利並びに敷地利用権並びにこれらの管理、処分その他の事由により管理不全専有部分管理人が得た財産(以下「管理不全専有部分等」という。)の管理及び処分をする権限を有する。
2 前項の規定にかかわらず、管理不全専有部分管理人は、集会において議決権を行使することができない。
3 管理不全専有部分管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。ただし、この許可がないことをもつて善意でかつ過失がない第三者に対抗することはできない。
一 保存行為
二 管理不全専有部分等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
4 管理不全専有部分管理命令の対象とされた専有部分の処分についての前項の許可をするには、その区分所有者の同意がなければならない。
管理不全専有部分管理人は、管理不全専有部分等の所有者のために、善良な管理者の注意をもつて、その権限を行使しなければならない。
2 管理不全専有部分等が数人の共有に属する場合には、管理不全専有部分管理人は、その共有持分を有する者全員のために、誠実かつ公平にその権限を行使しなければならない。
管理不全専有部分管理人がその任務に違反して管理不全専有部分等に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人の請求により、管理不全専有部分管理人を解任することができる。
2 管理不全専有部分管理人は、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。
管理不全専有部分管理人は、管理不全専有部分等から裁判所が定める額の費用の前払及び報酬を受けることができる。
2 管理不全専有部分管理人による管理不全専有部分等の管理に必要な費用及び報酬は、管理不全専有部分等の所有者の負担とする。
(3) 管理不全共用部分管理制度(新設・第46条の13~14)
裁判所は、区分所有者による共用部分の管理が不適当であることによつて他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、当該共用部分を対象として、第三項に規定する管理不全共用部分管理人による管理を命ずる処分(以下「管理不全共用部分管理命令」という。)をすることができる。
2 管理不全共用部分管理命令の効力は、当該管理不全共用部分管理命令の対象とされた共用部分にある動産(当該管理不全共用部分管理命令の対象とされた共用部分の所有者又はその共有持分を有する者が所有するものに限る。)に及ぶ。
3 裁判所は、管理不全共用部分管理命令をする場合には、当該管理不全共用部分管理命令において、管理不全共用部分管理人を選任しなければならない。
第四十六条の九から第四十六条の十二までの規定は、管理不全共用部分管理命令及び管理不全共用部分管理人について準用する。この場合において、これらの規定中「管理不全専有部分等」とあるのは「管理不全共用部分等」と、第四十六条の九第一項中「専有部分並びに」とあるのは「共用部分及び」と、「動産並びに共用部分及び附属施設に関する権利並びに敷地利用権」とあるのは「動産」と、同条第四項中「専有部分の」とあるのは「共用部分の」と、「区分所有者」とあるのは「所有者」と、第四十六条の十二第二項中「の所有者の負担とする」とあるのは「を共有する者が連帯して負担する」と読み替えるものとする。
所有者が不明であったり、専有部分若しくは共用部分の管理が不十分である等、一定の場合に裁判所が管理人を選任できる規定が追加されました。
所有者不明専有部分管理人は集会における議決権行使もできますが、管理不全専有部分管理人・管理不全共用部分管理人は集会における議決権行使はできません。
3.共用部分の変更決議及び復旧決議の多数決要件の緩和
(1)共用部分の変更決議(第17条)
共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。第五項において同じ。)は、集会において、区分所有者(議決権を有しないものを除く。以下この項及び第三項において同じ。)の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)の者であつて議決権の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各四分の三(これを下回る割合(二分の一を超える割合に限る。)を規約で定めた場合にあつては、その割合)以上の多数による決議で決する。
2 前項の場合において、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。
3 第一項の決議により共用部分の変更をする場合において、規約に特別の定めがあるときは、当該共用部分の変更に伴い必要となる専有部分の保存行為又は専有部分の性質を変えない範囲内においてその利用若しくは改良を目的とする行為(次項及び次条第四項において「専有部分の保存行為等」という。)は、集会において、区分所有者の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)の者であつて議決権の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各四分の三(これを下回る割合(二分の一を超える割合に限る。)を規約で定めた場合にあつては、その割合)以上の多数による決議で決することができる。
4 前項の決議をする場合において、専有部分の保存行為等の態様又は費用の分担に関する事項を定めるときは、決議の対象となる専有部分の区分所有者の利用状況、当該専有部分の保存行為等について区分所有者が支払つた対価その他の事情を考慮して、区分所有者間の利害の衡平が図られるようにしなければならない。
5 共用部分の設置若しくは保存に瑕疵かしがあることによつて他人の権利若しくは法律上保護される利益が侵害され、若しくは侵害されるおそれがある場合におけるその瑕疵かしの除去に関して必要となる共用部分の変更又は高齢者、障害者等(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成十八年法律第九十一号)第二条第一号に規定する高齢者、障害者等をいう。)の移動若しくは施設の利用に係る身体の負担を軽減することにより、その移動上若しくは施設の利用上の利便性及び安全性を向上させるために必要となる共用部分の変更についての第一項及び第三項の規定の適用については、これらの規定中「四分の三」とあるのは、「三分の二」とする。
第39条のところでも解説したとおり、区分所有者(議決権を有しないものを除く。以下●●において同じ。)の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)の者であつて議決権の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各四分の三以上の多数による決議によつてするという規定が追加され、母数が変更されました。
かっこ書きの「これを上回る~」が少々ややこしいですが、要は集会(総会)の「定足数」は規約で加重してもよい、ということです(但し、冒頭で説明したとおり今回の法改正の趣旨を踏まえればわざわざ加重する理由は無いと私は思います)。
また、3項・4項には共用部分の変更に伴い必要となる専有部分の保存行為等も決議できる規定が追加され、5項には一定の場合には決議要件を「四分の三」から「三分の二」に緩和する規定が追加されました。
「専有部分の保存行為等」「専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理」の具体例としては、給水管の更生工事や更新工事がありますが、国交省のマンション専有部分等の配管類更新による再生事例調査報告書等で調査研究されているように、総会での手続きや規約の規定、既に自腹で専有部分の工事を済ませてしまった人の扱いはどうするの?といった課題がありました。
こういった背景を踏まえ、新設された第18条4項と合わせて改正区分所有法に規定されました。
法制審議事録には、法務省関係官から本件の問題意識について以下のようなコメントが記載されています。
「区分所有建物の中の配管については、共用部分に属するものと専有部分に属するものが存在すると考えられていますが、給排水管が全体として老朽化している場合には、費用等の観点から、これらを一括して取り替えることが適当なケースがあるとされています。しかし、現行法の下では専有部分に属する給排水管の交換は各区分所有者が行うべきものとされているため、一括交換工事への同意が得られない区分所有者の専有部分に属する給排水管については工事を行うことが難しいと考えられてもいます。そこで、このような給排水管の工事を一定の多数決により行うことができるとしてはどうかということで取り上げています」
(2)復旧決議(第61条5項)
5 第一項本文に規定する場合を除いて、建物の一部が滅失したときは、集会において、区分所有者(議決権を有しないものを除く。以下この項において同じ。)の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)の者であつて議決権の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各三分の二以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。
いわゆる「大規模滅失の場合の復旧」の規定です。
従前は区分所有者及び議決権の各四分の三以上の特別多数決議が必要でしたが、出席した区分所有者及びその議決権の各三分の二以上の決議に変更されました。
4.管理に関する区分所有者の義務(区分所有者の責務)
区分所有者の責務(新設・第5条の2)
区分所有者は、第三条に規定する団体の構成員として、建物並びにその敷地及び附属施設(同条後段の場合にあつては、一部共用部分)の管理が適正かつ円滑に行われるよう、相互に協力しなければならない。
これまでの区分所有法の大前提として「自分の財産なんだから、わざわざ言われなくてもみんな当然にきちんと管理するでしょ」という考えが根底にあったと思われます。
が、実際には無関心であったり非協力的であったり、或いはそもそもの能力が著しく低い人もいたりで、管理組合が機能不全に陥ることも多いのが現実です。
そういった現実を踏まえて「わざわざ」今回の改正区分所有法で追加されました。
理事長やフロントさんの経験がある方はわかるかもしれませんが、理事会や総会であれこれ理屈を捏ねるばかりで「じゃあどうやったら解決するの?」という具体的な解決策に一向にたどり着かない人が一定数います。
「時期尚早だ」「議論が煮詰まっていない」「リスクの検証が」「議論のプロセスが」…etc.
そういうんじゃ困るよ、ごちゃごちゃ言ってないでさっさと解決しろよ、事件は会議室で起きてるんじゃないのよ、という強烈なメッセージがこの「かつ円滑に」という一語に込められていると私は勝手に思っています。
5 専有部分の保存・管理の円滑化
(1) 他の区分所有者の専有部分の保存請求(第6条2項)
2 区分所有者は、その専有部分又は共用部分を保存し、又は改良するため必要な範囲内において、他の区分所有者の専有部分若しくは自己の所有に属しない共用部分を使用し、又は自らこれらを保存することを請求することができる。この場合において、他の区分所有者が損害を受けたときは、その償金を支払わなければならない。
従前の規定では「使用を請求することができる」とされていましたが、これに加えて「自らこれらを保存することを請求することができる」とされました。
具体的なケースとしては、例えば上階から漏水による被害を受けた際に、従前の規定だと「使用(=立入り)」の請求はできるが「保存(=修繕)」まで請求できるかまで明記されていなかったところ、「保存(=修繕)」まで請求できることが明文化されました。
(2) 専有部分の使用等を伴う共用部分の管理(第17条・配管の全面更新等)
上記(1)共用部分の変更決議(第17条)で解説したとおりです。
(3) 管理組合法人による区分所有権等の取得(新設・第52条の2)
管理組合法人は、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うために必要な場合には、集会において、区分所有者(議決権を有しないものを除く。以下この項において同じ。)の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)の者であつて議決権の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各四分の三以上の多数による決議をすることによつて、当該建物の区分所有権又は当該建物及び当該建物が所在する土地と一体として管理若しくは使用をすべき土地を取得することができる。
2 管理組合法人は、前項の規定により区分所有権を取得した場合であつても、第三十八条の規定にかかわらず、当該管理組合法人の集会における議決権を有しない。
今回の改正区分所有法で新設された規定ですが、実際には管理組合が法人化して専有部分を購入するケースは以前からありました。
今回の改正は実態に合わせる方向で法律上明文化されたものですが、この論点については大和ライフネクストさんのマンションみらい価値研究所で詳しく解説されていましたのでよろしければそちらをご参照ください。
(4) 区分所有者が国外にいる場合における国内管理人の仕組み(新設・第6条の2)
区分所有者は、国内に住所又は居所(法人にあつては、本店又は主たる事務所。以下この項及び第三項において同じ。)を有せず、又は有しないこととなる場合には、その専有部分及び共用部分の管理に関する事務を行わせるため、国内に住所又は居所を有する者のうちから管理人を選任することができる。
2 前項の規定により選任された管理人(次項及び第四項において「国内管理人」という。)は、次に掲げる行為をする権限を有する。
一 保存行為
二 専有部分の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
三 集会の招集の通知の受領
四 集会における議決権の行使
五 共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して負う債務又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して負う債務の弁済
3 区分所有者は、第一項の規定により国内管理人を選任した場合において、管理者があるとき、又は管理組合法人が存立するときは、遅滞なく、管理者又は管理組合法人に対し、国内管理人を選任した旨並びに国内管理人の氏名又は名称及び住所又は居所を通知しなければならない。
4 区分所有者と国内管理人との関係は、第二項に定めるもののほか、委任に関する規定に従う。
外国人による取得や、長期の海外出張により連絡がつかなかったり、総会の議決権行使ができないケースも発生しており、これらを円滑にするのが目的です。
但し、法律上は「できる」規定であり、規約で義務付けなければ効果が薄いことから、最新の標準管理規約第31条の3関係コメントでは「組合員が国内に居住していない場合(法人にあっては、本店又は主たる事務所が国内に設けられていない場合)に、当該組合員に対し、管理規約の規定の中で国内管理人の選任を義務付けることも考えられる。」とした上で、義務付けるとした場合の規定として「組合員は、日本国内に住所又は居所を有せず、又は有しないこととなる場合は、国内管理人を選任し、直ちにその旨並びに国内管理人の氏名又は名称及び住所又は居所を書面により理事長に届け出なければならない。」と定めて強制力を持たせています。
6 共用部分等に係る請求権の行使の円滑化(第26条)
管理者は、共用部分並びに第二十一条に規定する場合における当該建物の敷地及び附属施設(次項において「共用部分等」という。)を保存し、集会の決議を実行し、並びに規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負う。
2 管理者は、その職務(第十八条第六項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金(以下この条及び第四十七条において「保険金等」という。)の請求及び受領を含む。第四項において同じ。)に関し、区分所有者(保険金等の請求及び受領にあつては、保険金等の請求権を有する者(区分所有者又は区分所有者であつた者(書面又は電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)による別段の意思表示をした区分所有者であつた者を除く。)に限る。以下この条及び第四十七条において同じ。)。同項において同じ。)を代理する。
3 管理者の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
4 管理者は、規約又は集会の決議により、その職務に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。
5 管理者は、次の各号に掲げるときは、遅滞なく、それぞれ当該各号に定める者にその旨を通知しなければならない。この場合における区分所有者に対する通知については、第三十五条第二項から第四項までの規定を準用する。
一 前項の規約によりその職務に関し原告又は被告となつたとき 区分所有者
二 前項の規約により保険金等の請求及び受領に関し原告又は被告となつたとき 保険金等の請求権を有する者
三 前項の集会の決議により保険金等の請求及び受領に関し原告又は被告となつたとき 保険金等の請求権を有する者(区分所有者を除く。)
これまで、共用部分等について損害賠償請求権等が発生した後に、区分所有権が譲渡された場合に、管理者が、区分所有者でなくなった者を代理することはできず、当事者となって訴訟追行することが基本的にできなくなるといった解釈もあり、損害賠償請求権等の管理に支障を来しているとの指摘がありました。
実際に、東京地裁平成28年7月29日では管理者は原告適格を欠くとして却下判決が出ていて、これでは円滑な管理に支障を来すと言わざるを得ません。
こういった不都合を解決するべく、損害賠償請求権等の発生後に区分所有権が譲渡された場合でも管理者が代理をして行使をし、当事者となって訴訟追行することができる仕組みが設けられました。
7 管理に関する事務の合理化(新設・第33条3項 規約の閲覧方法のデジタル化)
3 規約が電磁的記録で作成されているときは、第一項の規定により規約を保管する者は、前項の規定による当該電磁的記録に記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧に代えて、法務省令で定めるところにより、同項の請求をした利害関係人の承諾を得て、当該電磁的記録に記録された情報を電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該規約を保管する者は、同項の規定による閲覧をさせたものとみなす。
従前の規定だとわざわざ対面で画面に表示して閲覧させる前提でしたが、今のご時世スマホ1つでファイルのやりとりができるわけですからそうしましょうよ、という話です。
8 区分所有建物が全部滅失した場合における敷地等の管理の円滑化(第72条~85条)
冒頭でお断りしたとおり全部滅失した場合の規定で日常の管理とはあまり関係が無いので条文・解説は割愛しますが、何故これが必要だったのか?というお話だけ。
区分所有法第3条では、「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる」とされています。
しかしながら、建物が全部滅失した場合は区分所有権が消滅してしまうため、「元」区分所有者は集会を開くことも、規約を定めることも、管理者を置くこともできない可能性があります。
集会が開けないとなると、何かを決めようにも個別に承諾を得なければならないことになります。
それでは不都合だろう、ということで新たに規定が設けられました。
詳しい背景については法制審部会資料に記載されていますのでこちらをご参照ください。
その他、重大な変更点
長くなりましたが、その他の大きな変更点として、第35条1項の総会招集通知のルール変更があります。
総会招集通知のルール変更(第35条1項)
集会の招集の通知は、会日より少なくとも一週間前に、会議の目的たる事項及び議案の要領を示して、各区分所有者(議決権を有しないものを除く。)に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸長することができる。
従来、特定の議題以外は会議の「目的」のみ通知すればよかったものが、全ての議題について「議案の要領」も通知が必要となりました。
普通の管理会社に委託している場合、総会開催のご案内という紙の他に、「議案書」も同封されていますよね。この議案書の中に書かれている議案の説明が「議案の要領」です。
逆に言うと、これまでは特定の議題を除いて「目的」を示せば足りるというルールだったので、議案書の作成が間に合わなくなった限界フロントさんが深夜に総会招集通知だけペライチで配付・掲示して…という暗黒四十八手があったのですが、2026年4月以降これは禁じ手となります。一つの時代が終わった感ある。
改正区分所有法で独裁は加速するか
法制審の問題意識を基にした改正区分所有法の解説は以上ですが(抜け漏れあったらすみません)、ネットやSNS上では出席者による多数決が可能になったことを槍玉に上げて「独裁が加速する!」みたいな論調が展開されています。
これに関して言うと、冒頭で説明したとおり、法制審の問題意識は「円滑な管理に支障を来しているからパワーバランスを調整しよう」が出発点ですから、私にはどうも的外れな指摘に思えます。
もっと肩の力抜いてシンプルに考えましょうよ。
しょうがねーじゃん、来ないんだから
というのが私のホンネだったりするのですが、真面目な話、今回の改正で「出席者」が母数になったことで、独裁どころか逆に強い主張を持つ一部の人たちによって議案が否決になるケースもあるのではないかという気がしています。
例えば。
これまでは特別多数決議を可決しようと思ったら、四分の三は出席(委任・議決権行使含む)してもらわないとそもそも土俵に乗らなかったわけですから、理事会・管理者としては必死に票を集めますよね。無投票=反対票と同じですから、それならとにかく督促して提出させるのが得策です。
ところが、改正区分所有法では過半数の出席で四分の三を取ればよいので、仮に委任状・議決権行使書の提出者が0で過半数が「出席」の意思表示をしてきた場合、理事会(管理者)側としては票読みができず、未提出者に督促した場合、「反対」の議決権行使をされて藪蛇になる可能性もあるわけです。
で、督促せずに総会当日を迎えてみたら思いのほか出席者に「反対」が多く、これなら未提出者に督促して委任状集めておけばよかったわ…ということもあり得ます。
こういうことからも、「独裁が加速する!」というのは的外れだと思いますし、そんなこと言ってるヒマがあったら総会来ない人の家に凸って議決権行使書回収してきてよ(昔の俺みたいになっ…!)と思ってしまいます。
行方不明組合員の母数からの除外については、法制審第3回議事録に以下のようなやりとりがあります。
「今のお話を伺うと、やはり所有等不明の区分所有者を分母に入れている限り、なかなか難しいのかなというか、割合を決めるのは難しいのかなと思いますので、やはり何らかの手続をした上で抜くというのを、せざるを得ないんではないかいうふうに考える」
「私もこの母数からの除外というのは、多分そうせざるを得ないだろうということで賛成をします。全ての決議から排除するということで、結論から申し上げますと、私はそれには反対ということです。他方、ここの御説明で、出席者の多数決による決議を可能とするのは、区分所有権の処分を伴わないものに限るという、そういうこの本案の御説明については賛成」
「少数の人間で暴走しないようにということ、またこれは心配しすぎだと言われるかもしれませんが、そういう意味では定足数を設ける必要があるのではないかと思っています」
委員の先生方も、こういった点まで議論した上での結論ですから、そう心配はしなくてよいでしょう、というのが私の意見です。
区分所有法改正で独裁が加速!?ポイント・問題点をわかりやすく解説まとめ
今回は改正区分所有法について、法制審での問題意識を踏まえて解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
理事会などで、「結局何がどうかわるの?」と説明を求められた際などに活用していただければ幸いです。




