マンションの理事会役員に就任したけれど、理事会ってどれくらいの頻度で開催するものなのか疑問に思ったことはありませんか?
「管理会社は月1回開催すると言っているけど、本当にそんなにやらなきゃいけないの?」
「年に1回しか理事会を開催していないけど、これって少ないの?」
「理事長が変わってから理事会の頻度が高くなった気がする…」
人生で2回も3回もマンションを買い替えるという方はあまり多くないので、なかなか他のマンションと比較することもできず、疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、
- マンション理事会はどれくらいの頻度で開催するべきか
- 理事会の頻度を減らす方法
- 理事会の頻度を減らす時の注意点
等についてお話ししたいと思います!
マンション理事会はどれくらいの頻度で開催するべきか
実は、マンションの理事会の頻度について管理規約や総会決議で「年に〇回開催しなければならない」と定めているマンションはほぼありません。
管理会社のフロントさんが「月1回開催します」と言うのも、たまたま毎年そうしていたからか、以前の理事長さんが月1回開催していたからのどちらか、つまり「慣例」で月1回開催しているだけという場合がほとんどです。
知り合いの理事長さんで、「理事会の頻度を下げると管理会社が怠けるから絶対に月1回開催する」と豪語するドSな理事長さんもいらっしゃいましたが…
まあ間違ってはいないので良しとしましょう。笑
では、回数に定めが無いからと言って理事会を全く開催しなくても良いかというとそうではありません。
マンション標準管理規約第42条3項では「理事長は、通常総会を、毎年1回新会計年度開始以後2か月以内に招集しなければならない」とされており、同第54条では「収支決算案、事業報告案、収支予算案及び事業計画案」「その他の総会提出議案」を理事会で決議することとされています。
要するに、最低でも年に1回総会を開催しなければならず、その総会で決議する議案の内容を理事会で決めなければならないため、理事会も最低年1回は開催しなければいけない、ということになります。
では、実際にマンションの管理組合がどれくらいの頻度で理事会を開催しているのでしょうか。
国交省が実施した平成30年度マンション総合調査では、「「月に1回程度開催している」が 36.5%と最も多く、次いで「2ヶ月に1回程度開催している」が 25.4%となっている。」とされています。
単棟型と団地型を比較すると、「月に1回程度開催している」の割合は、単棟型が
29.2%、団地型が72.3%で、団地型が高くなっている。引用:平成30年度マンション総合調査(106ページ)
一見、60%以上のマンションが2ヶ月に1回以上理事会を開催しているように見えますが、ここにはカラクリがあります。
この調査結果の冒頭に「調査方法」が記載されているのですが、アンケートの配布は管理会社を通じて各マンションの理事長に送付しており、配布数4,200件に対し有効回収数はわずか1,688件に止まっています。
実際のアンケート用紙を見ればわかるのですが、項目が多く、賃貸戸数や空室割合、修繕積立金の積立状況や耐震診断の実施状況等、よほど意識の高い理事長さんでなければ管理会社に確認しないと答えられない項目が結構あります。
また、管理会社側も理事長さんにアンケートを渡してしまうと上記の項目について理事長さんから問い合わせの電話が掛かってきて仕事が増えることが目に見えているんですね。
勘の鋭い方ならもうお分かりでしょう。
真面目で素直なフロントさんならアンケートを理事長さんに渡してくれますが、海千山千のクレバーなフロントさんなら理事長さんに渡すことなくそのまま闇に葬ります。笑
そして、運よく真面目で素直なフロントさんから理事長さんがアンケートを受け取っても、これまた真面目で素直で責任感の強い理事長さんじゃないと、このタイミングで忘却の彼方へ…となる可能性が極めて高くなります。笑
つまり、この調査の結果は「管理会社のフロントもマンションの理事長も真面目で素直で意識が高いマンション」からの回答にメチャクチャ偏っているので、調査としての妥当性はハッキリ言ってかなり低いと思います。
だいたいの目安として「意識の高いマンションの過半数は2ヶ月に1回以上理事会を開催しているんだな」くらいの認識がちょうどよいのではないでしょうか。
理事会の頻度が高すぎるのも考えもの
理事会のだいたいの頻度・回数はわかりましたが、では頻度を高くすれば良いかというとそうとは限りません。
例えば大規模修繕工事期間中で、タイルの色や工事の仕様を特定の工期に間に合わせて随時決定していかなければならないような特殊な状況なら別ですが、通常は週単位で結論を出さなければならない議案はほとんどありません。
また、理事会でよくある工事の検討をする場合でも見積書を取得するのに現地調査~見積書作成まで1ヶ月弱掛かりますし、工事を発注しても着工・完工まで同じくらいの期間がかかるのが普通です。
あまり理事会の頻度が高すぎても役員の負担が大きくなりますので、理事会は多くても月1回くらいが妥当ではないでしょうか。
理事会の頻度を減らすには
とはいえ、「理事会役員の間でいつも意見が割れるから減らしたくても減らせないよ」というマンションもあるでしょう。
特に役員の人数が多い、総戸数300戸超のメガマンションではそういった傾向が強くなります。
十人十色という言葉があるように、人数が多くなれば意見が割れやすくなるのは当たり前です。
小規模マンションの場合は理事会役員全員が納得するまで話し合っても良いと思いますが、メガマンションの場合は反対者がいてもドライに理事の多数決で決定してしまうという判断も必要となります。
どうしても意見が割れて理事会の頻度が高くなったり、時間が長くなってしまう場合は「多数決で決めてしまう」ことも視野に入れ、必要以上に理事会役員の負担が重くならないようにしましょう!
理事会頻度を下げる時は管理費の滞納に注意!
理事会の頻度が高すぎても理事会役員の負担が重くなりますが、頻度が低すぎると今度は管理費の滞納者へのケアが行き届かなくなります。
基本的な管理費滞納者への督促は管理会社がやってくれますが、契約上、管理会社は「督促」を行えばよく、実際に「回収」するまでの義務は負っていません(標準管理委託契約書の場合。とはいえ、ここを不利な方向にいじってる管理会社はほぼ無いのでは?)。
管理費の滞納は長期化すればするほど金額が大きくなり、滞納者の支払いの意思が薄れていく傾向がありますので、1~2ヶ月以内に回収するのが鉄則です。
このような観点からも、理事会は月1回~2ヶ月に1回は開催した方が良いと思います。
それでも理事会の回数を減らす場合は、理事会を開催しない月は管理会社さんから管理費等の滞納状況をメール等で送ってもらってチェックするようにしましょう。
理事会は参加しやすい曜日や場所で
別の記事でもお話ししましたが、理事会は役員のみなさんが楽しんで参加してもらうのが一番です。
みんなが無理なく参加できる工夫をしましょう。
理事会の日程調整方法
「毎月最終週の日曜日」などと予め決めておいても良いですが、人によっては仕事の都合などで毎回同じ曜日の同じ時間帯を空けることができない方もいます。
そのような時はメールアドレスを理事会役員と管理会社のフロントさんで共有しておき、臨機応変に調整すると良いでしょう。
最近はグループトークができる無料アプリを活用する組合さんも多くなりました。
また、忌憚の無い意見を言いやすくするためグループトークやメールには管理会社のフロントさんを入れない方が良いという方もいらっしゃいますが、個人的にはフロントさんも交えて本当の意味で「胸襟を開いて」お話をした方が良いと思います。
理由は機会があれば別の記事で詳しくお話ししようかと思いますが、管理会社のフロントさんにマウントを取ったりプレッシャーをかけて言うことを聞かせるよりも、うまく盛り立てて生産性を上げてもらう方が理事会にとって圧倒的にメリットが多いです。
少々話が逸れましたが、理事会役員全員でうまく日程を調整して負担を軽減するようにしましょう。
理事会開催のお知らせは書面でなくても構わない
理事会の開催のお知らせは基本的に案内文書を各戸に配付して行いますが、マンション標準管理規約第52条4項で「ただし、理事会において別段の定めをすることができる」とされています。
マンションの理事会役員のほとんどがメール等を使用しないご年配の方であれば案内文書の配付するしかありませんが、みなさんが日常的にメールを使う方であればメールで案内したりグループトークができるアプリで案内することを理事会で決めてしまった方が良いと思います。
その方が後から日時を確認することもできますし、お知らせをする側も手間がかかりません。
マンションによって様々な事情があると思いますので、理事会役員で話し合ってみてはいかがでしょうか。
開催場所はどこでもOK!
これも別の記事でお話ししていますが、開催場所は「マンションの管理事務室or集会室」でなくても問題ありません。
役員のどなたかのご自宅でも、近所のカフェでも居酒屋でも、理事会役員全員が集まりやすい場所で開催するようにしましょう!
マンション理事会の頻度まとめ
今回はマンション理事会の頻度についてお話ししましたが、いかがでしたでしょうか。
マンションの価値を維持し、高めるために理事会を開催することは非常に重要ですが、頻度が高すぎて理事会参加を嫌がる人が増えてしまっては本末転倒です。
理事会役員みなさんが積極的に参加できるよう、各マンションで工夫してみてくださいね~☆