これ保険きくのかな…
猛烈な勢力を保ったまま関東直撃が予想される台風19号。
多くのマンションで被害が発生し、保険金を申請することになるかと思いますが、その時判断が難しいのが植栽の被害。
「マンションの植栽が倒木してしまったのだけど、これって保険の対象になるの?」
「植栽って保険の対象にならないって言われたのだけど、本当?」
「隣のマンションは保険で植栽を直したって言ってたのにウチはなんで保険の対象にならないの?」
そのような疑問をお持ちの方もいらっしゃるかと思いますので、今回は台風で植栽が被害を受けた場合の各保険会社の補償対象の違いについて簡単にまとめたいと思います☆
注意!!
今回の記事は飽くまでも【原則】のお話しです。
保険金を申請して認定されるかどうかはケースバイケースで、最終的には保険会社の判断になりますので、実際に申請する際は各保険会社や代理店にご確認ください。
マンションの植栽は保険対象になる
念のためもう一度…
原則として
というお話しですが、損害保険大手4社(東京海上日動・損害保険ジャパン日本興亜・三井住友海上・あいおいニッセイ同和損保)共通で、植栽に損害が発生した場合の撤去作業・復旧作業は補償対象となります。
東京海上日動・損保ジャパンと、三井住友海上・あいおいニッセイ同和損保では扱いが異なるので、分けて解説します。
東京海上日動・損保ジャパン日本興亜の場合
東京海上日動と損害保険ジャパン日本興亜の場合、先ほどお話しした原則の通り、マンションの植栽に被害が出た場合、倒木の撤去作業や復旧が保険対象となります。
事故報告書、写真付きの報告書、植栽業者の見積書を揃えて保険申請すればOKです。
植栽屋さんによっては保険対応に慣れていないこともあったり、保険会社から追加で写真の提出を求められることもあるので、予め植栽屋さんに
「保険申請で必要になるので、マンション全景、倒木全景、根本が折れたり掘れたりしてる部分は作業前に写真を撮っておいてください!」
とお願いしておくと良いと思います。
可能であれば理事会役員で写真だけ撮っておくと安心です☆
写真が無いために保険金が下りないというケースもありますので、写真はしっかり撮っておきましょう。
三井住友海上・あいおいニッセイ同和損保の場合
三井住友海上・あいおいニッセイ同和損保の場合は注意が必要です。
というのも、【原則】はマンションの植栽も補償対象なのですが、東京海上日動・損害保険ジャパン日本興亜と違って2つの条件を満たすことが必要です。
- 建物(マンション)の共用部分と同時に被災し、且つ
- 事故の翌日からその日を含めて7日以内に枯死すること
この2つを両方を満たさなければ補償の対象になりません。
植栽に被害が出ているケースでマンションの共用部分に被害が出るのは珍しいことではありませんが、7日以内に枯死ってだいぶ難しいような…
3日前(10月9日)に長崎へ行ってきましたが、9月9日の台風15号で折れたと思われるデイゴの木、根元からボッキリ折れてるのにまだきれいな花が咲いてましたしね。笑
但し、三井住友海上・あいおいニッセイ同和損保の場合でも保険認定されたというケースもけっこうあるようなので、とりあえずダメもとで保険申請してみることをおすすめします!
保険対象外の事故
植栽とは関係ありませんが、マンションの台風被害後の保険申請でよくある対象外の事故を2つほど挙げておきます。
エレベーターへの雨水の吹込み
内廊下のタワマン等にお住いの方は「なんのこっちゃ?」かもしれませんが、外廊下のマンションでは各階の乗り場から雨水が吹き込んだりしますし、中には外階段からエレベーターホールに雨水が直接流れ込むステキな仕様のマンションもあったりします。
最初見た時は目を疑いました。そんなんだから業務停止処分食らう
保険会社大手4社共通で、【保険金をお支払いしない場合】として風、雨、雪、雹、砂塵その他これらに類するものの吹込みまたは漏入による損害と規定されているため、
- 台風でエレベーターのピット内に雨水が流れ込んだ場合の排水作業
- 台風でエレベーターに雨水が吹込み基盤が故障した場合の復旧費用
これらは保険対象外となります。
「但し、外壁、屋根、開口部等が風災等事故によって破損し、その破損部分から内部に吹込みまたは漏入した損害を除きます」
との文言もあるため、例えば、
- 風でエントランスのガラスが壊れたため、そこから雨水が吹き込んで照明器具が故障した
というような場合は保険対象になる可能性があります。
過去にも台風でエレベーターへの雨水の吹込みがあった場合の事前の対策としては、
- 各階乗り場が外廊下に面している場合は、エレベーター周りの廊下をパーテーションで覆って雨水が吹込むのを防ぐ工事をしておく
- 事前にエレベーター保守会社に連絡をして、エレベーターのカゴを最上階で停止させておく
という方法があります。
予め最上階で停止させるとその時点から、台風通過後に作業員が順次復旧作業を行うまでの間はエレベーターが使えなくなりますので、早めに掲示等でお知らせをしておく必要があります。
仮に最上階で停止させておかず、雨水が掛かって基盤等が故障した場合は交換が必要になりますが、台風後はどこのマンションでも同じような故障が相次ぐため、在庫切れで復旧まで1ヶ月近く掛かることもあります。
この業界にいるとメーカーがどれだけ強大な力を持っているかがよくわかります…
タイルやパーテーションの落下による車両の破損
台風によって、マンションのパーテーションボードやフェンス、駐輪場の屋根が破損した場合、原則として保険対象になります。
但し、その壊れたパーテーションボードやフェンスがマンションの駐車場まで飛ばされて車両が破損したというような場合、車両については保険対象外となります。
- 施設賠償保険は、台風等の天災による事故は不可抗力によるものとして法律上の賠償責任が発生しないため補償対象外(台風15号で発生した千葉県のゴルフ練習場の件がこれ)
- 個人所有の車両は管理組合の損害保険の保険補償範囲に含まれていないため
です!
例外として、裁判で相手方が天災による不可抗力ではなく土地所有者の工作物責任を立証したような場合は賠償責任が生じるため保険対象になるみたいですが、原則は対象外と考えてください。
マンション植栽の台風被害は保険で補償されるかまとめ
台風19号が迫っているため、マンションの保険で植栽の被害が補償されるのか取り急ぎまとめました。
台風が来る前に事前の準備が大切ですが、それでも被害が発生した際は保険を申請することになると思います。
保険申請の際は、
しっかりと写真を残しておく
これが非常に大事になります。
また、保険金が認定されるかどうかは最終的には保険会社の判断になりますので、補償対象か迷った場合(特に植栽)はマンションの管理組合から保険会社に確認をするようにしてくださいね!