たびたびTwitterで発信しているのでお気づきの方も多いと思いますが、私は最近平日は消防設備点検の仕事をしています。
「マンション管理士が消防設備点検?」
「消防設備点検って資格が必要なの?」
「消防設備士って何?消防士と違うの?」
そんな疑問をお持ちの方もいらっしゃるはず。
というか私も半年前まで消防設備士のことは全くと言って良いほど理解していませんでしたw
ただ、実際に消防設備士の資格を取って消防設備点検の仕事を始めてみて、「これは凄い!」「おもしろい!」と現在進行形でハマっているわけです。
今回はそんな新米消防設備士(当然これからもっと勉強してレベルアップします!)である私が、消防設備士の魅力についてお話したいと思います!
消防設備士って何?
そもそも消防設備士ってなんぞ?というみなさま。
よーわからんって人の方が多いはず。
よく言われるのが「消防士とは違うの?」という質問なのでまずはこの点について説明すると、
消防士…消防署にいる人。公務員。
消防設備士…消防設備の点検や工事をする人。国家資格。
※細かい法律の話をするとニワカの私はボロが出そうなのでこれくらいで勘弁してください。
です。
で、消防設備士の資格は点検だけできる乙種と、工事もできる甲種があり、更に扱える設備によって1~7類と特類に分かれます。
1類…屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、屋外消火栓設備、パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備、共同住宅用スプリンクラー設備
2類…泡消火設備、パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備
3類…不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備
4類…自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、消防機関へ通報する火災報知設備、共同住宅用自動火災報知設備、住戸用自動火災報知設備、特定小規模施設用自動火災報知設備、複合型居住施設用自動火災報知設備
5類…金属製避難はしご、救助袋、緩降機
6類…消火器
7類…漏電火災警報器
特類…特殊消防用設備等(従来の消防用設備等に代わり、総務大臣が当該消防用設備等と同等以上の性能があると認定した設備等)
※一般社団法人消防試験研究センターのホームページより引用。
なので、「消防設備士○種△類」という呼び方をします。
「甲種4類」なら自動火災報知設備等の点検と工事ができますし、「乙種6類」なら消火器の点検ができる、といった具合です。
消防設備点検ができるもう1つの資格
↑の話を聞いて「えぇ、そんなにたくさんの種類の資格を取らなくちゃいけないの…」と思われた方も多いと思います。
小さなアパートでも自動火災報知設備・避難はしご・消火器は設置されていますから、最低でも4類・5類・6類は持っていないといけないことになります。
どうしよ、難しそうだし消防設備士になるのはやめとこうかな…
そう思った方、諦めるのはまだ早い!ということで、実は点検をするだけならもう1つ、消防設備点検資格者という資格がありまして。
詳しくはこちらに書かれていますが、要するにこの消防設備点検資格者の第1種・第2種の講習を受ければ、特類以外の設備の点検資格を得られるわけです。
但し、消防設備点検資格者講習の受講料は第1種・第2種合わせて約6万円とややお高め…
これらの受講資格の中で最も取得が簡単なのが消防設備士乙種6類(通称オツロク)なので、まったくの未経験から始めるなら乙6を取って消防設備点検資格者講習を受講するのが最短ルートだと思います。
消防設備士乙種6類、実際に取ってみた
こちらの動画で宣言したとおり、1ヶ月しっかり勉強して「消防設備士乙種6類」を私も取りました!
株式会社WAVE1の吉村さんは「資格取ればすぐ仕事できますよ!」って言ってたけどホンマかいな…というわけで、ここからは私の実体験をお話しします。
まずは「ビルメ」に登録!
まず、吉村さんが「中村さんもビルメ登録してください!」とか言うので、言われるがままとりあえず登録。
ご興味ある方はこちらから登録してみてください。
このアプリはいったい何なのか、一言でいうと「消防設備点検やビルメンテナンス系の単発のお仕事のマッチングアプリ」です。
登録すると↓の画像のような感じでいつ、どこの現場で仕事があるのか表示されるので、マッチングしたら当日待ち合わせ場所に行ってお仕事に参加。
必要な資格を保有していない場合は「この仕事には参加できません」と表示されてマッチングできないようになっているので、行ってみたは良いけど自分のスキルじゃ無理…ということも起きないので初心者も安心(画像はWAVE1さんのお仕事ですが、他の会社さんも多数お仕事を募集しています)。
で、このアプリの売りはホームページ見れば色々書いてあるのですが、私がこのアプリを推す最大のポイントは、登録後3回までWAVE1さんの現場で消防設備点検の研修を受けられるという点。
WAVE1さんの現場で研修
そんなわけで登録してすぐWAVE1さんの現場で研修。
行ったのは都内のオフィスビル。ここでWAVE1の社員さんから消防設備点検の流れを指導を受けて実際に点検作業を行います。
設備業界って、コワモテで無愛想な職人気質のオッサンに理不尽にシバかれながら働く…というイメージをお持ちの方も多いかと思いますが(実際そうなんですけどw)、WAVE1の社員さんは20代の若くて優秀な方が多く、初歩から丁寧に指導して貰えます。
これ、他所の業界じゃ当たり前かもしれませんが、職人の世界では革命的です。
WAVE1さんの気が変わる前に初心者もガンガン経験を身に付けて新規参入しちゃいましょう。笑
そして私のようなフリーランスにとってはこれが本当にデカい。
何故か。
この研修を受けておけば、他の防災屋さんで働かせてもらうための面接のアポ取る時に
「他社さんで消防設備点検の経験あります!」と堂々と言えるからです。
そりゃ経験者が欲しいに決まってますよね。
近くの防災屋さんに電話
ビルメ経由でいくつかお仕事参加したあと、私の自宅から近い消防設備点検会社にメールで「お仕事させてください!」と営業。
すると社長さんと電話でお話することになり、やり取りはこんなかんじ↓↓
社長「今ってなんのお仕事されてるんですか?」
なかむー「個人でマンション管理士をしてますが、土日の理事会・総会以外はメールや電話対応程度なので、ここ1ヶ月くらい平日は他社さんの現場で消防設備点検に参加させてもらってます」
社長「そうですか。平日は人が足りないので入れるならありがたいですね。他社さんって、どこの会社の現場行ってるんですか?」
なかむー「WAVE1さんと、○○防災さんと、△△社さん(※ビルメ経由で仕事した会社)でやらせてもらってます」
社長「WAVE1さんは知ってますね。○○防災さんは聞いたこと無いけど…△△社さんは大手ですね。1人で自火報盤の操作とかってできますか?」
なかむー「自火報盤は社員の方にやっていただいているので、管理会社時代に音響停止・復旧の操作をしたくらいです」
社長「なるほど。そしたら来週あたりから来れますか?日程はあとでメールします」
なかむー「ありがとうございます!よろしくお願いします!」
こんなかんじで想像以上にあっさり仕事が決まりました。
しかも直後にメールで「ここは入れますか?」とかで10日分以上仕事の日程が来て、翌週から即お仕事スタート。
凄すぎる。
このあともう1社営業しましたが、概ね同じような流れで「ウチならほぼ平日フルでお仕事お願いすると思います!」との回答(こちらの会社さんは諸事情で今回はお仕事することにはなりませんでしたが)。
吉村さんが著書で消防設備士を最強の仕事と言っていた意味がよーくわかりました。こういうことなのね。
私も経験について訊かれて「1ヶ月くらい」「自火報の操作は社員にお願いしている」等正直に申告しました。
で、なんでここでウソついちゃいけないかというと、何よりも自分が困ると思うんですよ。
正直に申告して、それでもお仕事くれるということは、先方は「まぁそれくらいならこっちで教えて戦力にできるな」と判断してくれているわけで、それなりの環境(教えられる社員さん付けたり)は用意してくれます。
ところが、会社によっては初心者に教えているヒマは無い、なんとしても即戦力が欲しい、というところもあるわけです。
こういう会社の現場に初心者が行ってしまうと教えてくれる環境もないし、現場の職人さんもイライラしていて常に怒鳴りつけられたり…ということが本当に起こります。
この辺は何社かお仕事行けばわかると思いますが、とにかく自分のスキルは正直に申告しましょう。
消防設備士という仕事
このようにほぼ未経験の私でも消防設備点検の仕事が取れましたが、恐らくよほどの僻地でなければ誰でもどこでも同じように仕事が取れると思います。
実際にやってみて、私なりに消防設備士という仕事について感じたことを挙げてみます。
①日本全国どこでも仕事ができる
マンション管理系のお仕事をされている方はご存知だと思いますが、消防設備点検は法定点検なので、ビルやマンション、商業施設等の建物があれば日本全国どこにでも仕事があります。
今回のコロナ禍でリモートワークがクローズアップされましたが、消防設備点検のお仕事ができるようになれば地元に帰って仕事をしたり、地方移住等の選択肢も広がるのではないでしょうか。
新幹線停車駅や空港の近くなら消防設備点検のお仕事もありそうだし、土日だけ理事会・総会のために東京に戻ってきて、平日は地方でのんびり消防設備点検…って生活もいいなーと思ってます。
②副業(複業)・兼業しやすい
消防設備点検をしている防災屋さんはたくさんあるので、例えば「平日は本業があるので土日だけ仕事したい」とか「本業がシフト制なので休みの日に現場があれば入りたい」といった都合に合わせて仕事ができるので、副業(複業)・兼業しやすいと思います。
「副業」ってサブで片手間にやってるみたいなニュアンスで感じ悪くないですか?
人によってはサブの仕事なのかもしれませんが、現場にはそれを本職としてプライド持って仕事している人もいるわけです。
その人たちの前で「こっちは副業です」「バイトです」って言ったら、たぶん良い気はしないと思うんですよね(本職でやってる吉村さんとかが言うならともかく、我々が言ったらアカンということ)。
私は消防設備士「も」本業にするつもりで仕事させてもらってますけどね♪
他の業界やそこで働く人へのリスペクトがないやつは何やらせてもだいたいダメ。
③マンション管理士との親和性が高い
これは完全に私個人の話。
先ほどの消防設備点検会社の社長さんとのやり取りでも触れましたが、マンション管理士の仕事は基本的に土日の理事会・総会への出席がメインで、平日は空いた時間に電話やメールで理事長さんの相談を受けたり、ちょこちょこっと資料を作ったりするくらいでほとんど仕事はありません。
そして消防設備点検をしている防災屋さんも平日の人手が足りないということが結構あるみたいで、空いた時間にガンガン仕事入れて貰えます。
そして現場に行けば行くほど消防設備の知識がどんどん増えていくので、本業のマンション管理士の仕事にも活かせる、空いた時間で稼げる、しかも建物内を歩き回って点検するので運動不足解消にもなる、まさに一石三鳥です。
週4日の稼働でも大卒初任給くらいの金額にはなりますから、個人のマンション管理士が軌道に乗るまでの王道ルートになり得るんじゃないかと思ってます。
なによりマンション管理士のお仕事ともシナジーありますしね。
消防設備点検をやってみて気付いたこと
最後に、私が2ヶ月ほど消防設備点検のお仕事をしてみて気が付いたので、1つだけ言わせてください。
みなさん、防災訓練(消防訓練)は絶対に毎年やりましょう。
こういうとみなさん、
「えー、消火器の使い方くらい知ってるよw」
「あの小学生の時やった避難するやつねw」
くらいに思われると思いますが。
本当に正しく消火器使えますか??
結構アヤシイ人多いんじゃないですかね。
あと。この写真みてください↓↓
はい。
消火器見つけられますか??
正解はこちら↓↓
消火器を探して写真を見たので場所が分かった方も多いと思うのですが、写真の右側を見ていただくとわかるように、ここはマンションの共用廊下の突き当り、少し曲がって奥まった住戸の玄関横にあります。
この住戸にお住まいの方以外でここに消火器があることを知っている住民はどれだけいるでしょうか。
エレベーターを降りて自分の住戸までの廊下を歩いているだけの普段の生活では絶対に発見できません。
ではもう1問。
これは赤い表示があるので写真を見ればすぐわかりますが、普通に廊下を見渡して一発で発見できる人は少ないのでは?
もっというと、ホテル等ではこの赤い表示すら無い(白い壁に白い扉で、銀色で「消火器」と書いてある場所に格納されている)こともあります。
そうなんです。
消火器の使い方以前にどこにあるのかわからないと思うんです。
何故そう思ったかと言うと、私自身点検していて消火器がなかなか見つからないことがよくあるからwww(←精進しろ)
防災訓練(消防訓練)は毎年やりましょう。
消防訓練のやり方でお困りの方はお問い合わせフォームからご相談ください。
マンション管理士が消防設備士を取って消防設備点検をやってみたまとめ
今回はマンション管理士が消防設備士を取って消防設備点検をやってみたということで、いつもと少し方向性を変えてみましたが、いかがでしたでしょうか。
私もマンション管理の仕事をしてわかったつもりでいましたが、改めて消防設備士の勉強をして実際に消防設備点検のお仕事をしてみると、また違った角度から見えるようになり、消防設備も奥が深いな…と思っている次第です。
まだまだ勉強中の身ですが、消防設備士も本業です!と胸を張って言えるようになるまで日々精進いたします!