理事会

マンション理事会の暴走理事長を解任する方法を紹介

マンション 理事会 独裁

あなたのマンションの理事会は、理事長の暴走を許してしまってはいませんか?

 

「理事会が理事長1人の独裁状態になっていて、他の役員が出席したがらない…」

「独裁的な理事長に不信任を突き付けたいが方法がわからない…」

「勝手によくわからないルールを作られてしまい迷惑している…」

 

こんなお話をよく聞きます。

 

今回は、

  • マンションの理事会で独裁的な理事長を解任する方法
  • 独裁的な理事長が暴走する前に食い止める方法
  • 理事長による理事会の乗っ取りを防ぐ方法

についてお話ししたいと思います!

マンション理事会で独裁的な暴走理事長を解任するには

マンションの理事会役員を決める際、多くのマンションではなかなかやりたがる人が見つからず、輪番制で決めているケースが目立ちます。

 

そんな中、理事長に立候補してくれる方がいると周囲の人間は、

「ラッキー!」

「これで私は理事長をやらなくて済む!」

 

と心の中でガッツポーズし、ダチョウ俱楽部よろしく満場一致で

「どうぞどうぞ」

 

となるマンションをたくさん見てきました。

よくある光景ではありますが、これは非常に危険です。

 

最初は善意で立候補していた方でもそのような環境では徐々に独裁的になっていく可能性もありますし、そもそも最初から理事長という立場を利用するために立候補する悪意のある方もいます。

 

周囲が無関心だと権力の腐敗を招きやすくなりますし、腐敗せずとも一部の区分所有者に知識が集中してしまい、その一部の人たちに「物申す」ことのできる人が段々と少なくなっていくリスクがあります。

 

この後解説しますが、独裁的な理事長を解任する方法はあるものの、現に独裁を許してしまっている状況で解任するのは難しいと思ってください。

【訂正】

以前、「権力は必ず腐敗する」という表現をしていましたが、「必ず」というのは不適切ではないかとのご指摘をいただきました。

確かにそのとおりで、私が知る限りでも、20年近く真面目に誠実に孤軍奮闘されている理事長さんもいらっしゃるので、配慮に欠けていたなと思い、一部訂正いたしました。

ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございませんでした。

 

私がこの記事を通してお伝えしたいことは、

「無関心はリスクが高いのでやめましょう」

ということですので、この部分が少しでも伝われば幸いです。

理事長職を解任する場合

マンション 理事会 独裁

独裁理事長を降ろす方法は大きく分けて2つ、「理事長職を解任する方法」と「理事会役員そのものを解任する方法」がありますが、まずは「理事長職を解任する方法」について解説します!

 

多くのマンションの管理規約では、

「理事長(副理事長、会計担当理事)は、理事の互選により決定する」

と規定されているのではないでしょうか。

 

このような規定がある場合について、最高裁平成29年12月18日判決では、

「理事の過半数の一致により理事長の職を解くことができる」

としています。

 

マンションの理事会役員の中に「反・理事長派」が過半数を占めていれば、理事会決議で理事長職を解任し、通常の「理事」に役職を変更できるということになります。

 

尚、現在のマンション標準管理規約では、役員の役職は「理事の互選により選任する」から、「理事会で選任する」に文言が変更されていますが、「理事の中で決める」という主旨に変わりはありませんので、結論に影響を及ぼさないのではないかと思います。

 

但し、そもそもの役員人数が少ない場合、例えば理事長1人、副理事長1人、監事1人という体制の場合、監事に議決権は無いため理事長を除いて過半数を集めることは不可能であり、この方法は使えません。

 

その場合は次にお話しする「理事会役員そのものを解任する」方法を取ることになります。

理事長職は理事会決議で解任できる

理事会役員そのものを解任する方法①

マンション 理事会 独裁

上記の方法で理事長職を解任することができない場合、「理事会役員そのものを解任する」方法を取ることになりますが、こちらの場合は理事会決議ではなく総会決議が必要になります。

 

理由は、マンション標準管理規約第35条で理事会役員の役職については「理事会で選任する」とされていますが、理事そのものは「総会で選任する」とされているためです。

 

マンション標準管理規約上、理事長以外の組合員が総会招集を要求するためには、組合員総数の5分の1以上の組合員の同意を得なければなりませんが、これが非常に厄介です。

 

その理由としては、

  • 5分の1の賛同を集めようにも組合員リストは一般的に理事長が保有しており、個人情報保護を盾に開示を拒まれてしまうため、組合員の大半が外部に居住している投資用マンション等の場合は謄本を調べて手紙を送るしかない
  • 謄本で住所を調べても電話番号まではわからないため、出席票・委任状・議決権行使書の提出をこちらから促すことができず、半数以上の出席を満たすことが難しい
  • 飽くまでも「総会の招集を『請求できる』」に過ぎないため、実際に総会を招集するのは理事長であり、開催日を総会開催案内発送後14日ギリギリに設定して出席票・委任状・議決権行使書が集まらないようにしたり、その数を偽り少なく報告して総会不成立にすることができてしまう

 

私も悪質な新宿区の管理会社が管理者(理事長)になっている管理組合で、なんとか5分の1の組合員の賛同を得て管理者(理事長)解任の総会招集を要求しましたが、上記の方法で総会不成立として逃げ切られてしまったことがあります。

 

他のマンション管理士にも尋ねてみましたが、やはりこの方法での理事会役員の解任は成功した事例がほとんど無く、現実的にはかなり難しいと言えます。

現実的には「5分の1総会」での理事長解任は難しい

理事会役員そのものを解任する方法②

マンション 理事会 独裁

もう1つの方法は、監事による臨時総会招集です。

 

マンション標準管理規約上も区分所有法上も「不正(不当な事項)があると認める時は」という条件付きで監事が臨時総会を招集することができるという規定があります。

 

従来この臨時総会は、「不正を報告する」ことに限定されており、その対抗策として理事会役員(理事長)解任の議案を上程することまではできないと解されていました。

 

ところが、平成30年9月25日東京高裁判決で、この解釈を大きく覆す判断が下されます。

 

これまでの「不正を報告する」ことに限定されるという解釈を覆し、「対応策として必要と考える議題も適宜提案できる」という解釈が示されたのです。

 

それぞれの条文を見ると、区分所有法第50条では「報告をするため必要があるときは、集会を招集」とあるのに対し、マンション標準管理規約第41条では「不正があると認めるときは、臨時総会を招集」とあり、管理規約では総会招集の目的を限定されていない事が判決の根拠になったようです。

 

5分の1の賛同による総会招集は事実上困難で形骸化してしまっているため、監事による理事会役員(理事長)解任のための臨時総会を招集が認められたことは非常に大きな意味を持つと言えます。

 

黒ひつじくん
黒ひつじくん
監事の役割についてはこちらで詳しく解説します!

マンションの理事会で暴走を始める前に食い止める

監事による理事会役員(理事長)解任の臨時総会招集が認められるようになったとはいえ、理事長が独裁・暴走を始める前に「理事長の独裁・暴走を許さない風土」を作るのが1番です。

 

ここでは「理事長の独裁・暴走を許さない風土」を作る方法についてお話ししたいと思います☆

マンションの理事会に責任を持って参加する

マンション 理事会 暴走

これまでお話ししてきたように、人は環境によって大きく左右されます。

 

周囲が無関心だと、最初は「ちょっとくらい良いか…」というところから始まり、その「ちょっと」があっという間にエスカレートして独裁・暴走に繋がります。

 

マンションの総会で理事会役員を決める時、めんどくさいなぁ…と思っても、できる限り参加するようにしてみてください。

 

何も理事会で難しい話や議論をする必要はありません。

マンションの理事会に関心があることを示し、「ちょっとくらい良いか」という思いを芽生えさせないようにするだけで絶大な効果があります。

 

マンションはあなた自身の大切な資産です。

自分の資産を守るためにも、責任を持って理事会に参加しましょう☆

責任を持って理事会に参加し、暴走の芽を摘む

ワンマン理事長を放置しない

マンション 理事会 独裁

積極的に理事会に参加していても、独裁的な「ワンマン理事長」が生まれてしまうケースもあります。

 

そんな時はそのまま放置せず、他の役員に働きかけて理事会役員みんなで理事長をたしなめる、理事会役員だけでは難しいようなら他の組合員にも協力を求めるなど、早い段階で暴走を食い止めるようにしましょう!

 

ワンマン理事長が本格的に暴走を始めてしまうと「触らぬ神に祟りなし」という雰囲気が生まれて他の理事会役員や組合員の協力を得ることが難しくなってしまうので、先延ばしせずに早期解決を心がけましょう☆

ワンマン理事長を放置しない放置しない

マンション理事会の乗っ取りに注意!

マンション 理事会 独裁

珍しいケースではありますが、周囲が無関心だとこのようなこともできてしまうということをお伝えするため、最後にこのお話しをしたいと思います。

 

少数の理事で運営しているマンションの理事会で、新参の理事1人が、工事の発注を巡って古参の理事長やもう1人の理事と対立したことがありました。

 

当初は古参の理事長がもう1人の理事を味方に付けていたのですが、これに腹を立てた新参の理事はとんでもない手を打ちます。

 

なんと、そのマンションの売りに出ていた住戸を複数の友人に購入させ、理事会役員に立候補させたのです。

 

古参の理事長はその理事会役員立候補者が「新参の理事の友人」だとは知る由もありませんから、立候補はあっさり可決承認されます。

 

すると形勢は大逆転。

理事会は多数決の原理で物事が決まるため、古参の理事長は「これじゃやってられないよ」と理事会役員を辞任してしまいました。

 

マンション 理事会 独裁

この「新参の理事」が理事会の権力を濫用する悪意のある方だったらと思うと、怖くありませんか?

 

この「とんでもない手法」も、理事会役員の数が少ないからこそ可能となってしまう手法です。

 

友人に「あの理事会ムカつくからちょっと1部屋購入してよ」と声を掛けて簡単に購入できてしまう経済力のある方というのは滅多にいないのでかなり特殊なケースではありますが、周囲が無関心だとこのような理事会の乗っ取りも現実に起こり得るので要注意です。

無関心だと理事会を乗っ取られる危険性もある

暴走・独裁に繋がらなくてもリスクはある

ここまで読まれて「うちはそんな悪い人もいないし、真面目な○○さんがやってくれているから…」と思われる方もいるかもしれません。

 

確かに、私が知っている理事長さんでも、20年近く真面目に誠実に、マンション全体の事を思って組合運営をされている方がいます。

人間として尊敬できる、素晴らしい方です。

 

でも、その方が退任されたらどうでしょうか。

ご自身でも「もう歳だしいつまでできるか…」と仰っていましたが、そんなスーパー理事長がいつまでもいてくれるわけではありません。

 

スーパー理事長が退任した後、残された組合員はどうなるでしょう。

問題に直面したとき、団結して対応できますか?

スーパー理事長が抜けた隙をついて、悪意のある人がその座についたら対処できますか?

 

今は良くても、そういったリスクにまで目を向けてほしいのです。

黒ひつじくん
黒ひつじくん
そのような状況を危惧して、その理事長さんは毎年10名以上選任して、2年任期・半数改選でたくさんの方に役員を経験してもらうよう必死に努力されています。

スーパー理事長のいるマンションは本当に恵まれています。

このような方がいるうちに、しっかり後任の育成もできると良いと思います!

マンション理事会で独裁理事長を解任する方法まとめ

今回はマンションの理事会で独裁的な暴走理事長を解任する方法についてお話ししましたが、いかがでしたでしょうか。

 

マンションの理事会でワンマン理事長の独裁・暴走を阻止するためには、組合員全員がマンションは自分自身の大切な資産だということを肝に銘じ、日頃から理事会に関心を持つことが重要です。

 

理事会への無関心は独裁・暴走を招きます。

 

めんどくさがらず、ぜひマンションの理事会に参加してみてくださいね~☆