管理計画認定制度とマンション管理適正評価制度、最近よく聞くけど違いがよくわからない、という方も多いのではないでしょうか。
- 管理計画認定制度とマンション管理適正評価制度違いをわかりやすく教えてほしい!
- 管理計画認定制度とマンション管理適正評価制度のそれぞれの評価項目や認定基準が知りたい!
- 管理計画認定制度とマンション管理適正評価制度に参加するメリットはあるの?
- 管理計画認定制度とマンション管理適正評価制度、それぞれ費用はいくらかかるの?
そんな疑問をお持ちの方も多いはず。
そこで今回は、これらの疑問にお答えするべく、両制度を比較しながら要点を整理してみました。
具体的な金銭的インセンティブも設定され始めましたので、ぜひみなさんのマンションでも参加を前向きに検討してみてください。
絶対に認定を取りたい!高評価を取りたい!という方は私の方でもサポート可能ですので、お問い合わせフォームから一度ご相談ください。
理由は後述しますが管理会社とケンカするのは時間のムダです。
管理計画認定制度とマンション管理適正評価制度の違い
まずは、管理計画認定制度とマンション管理適正評価制度、それぞれの制度の概要から。
【管理計画認定制度】
- マンション管理適正化法第5条の3から第5条の10までに基づき実施(実施主体は国、申請・認定実務は地方自治体)
- 管理組合が作成した管理計画が一定の基準を満たしていれば、地方自治体の認定を受けられる
- 認定の有効期間は5年
- 認定を受けるメリットとしては①市場で評価される、②住宅金融支援機構によるマンション共用部分リフォーム融資などの金利引き下げ等が受けられる、③すまい・る債の利率が上乗せされる
- 16項目の基準を全て満たすことが必要(自治体によっては独自項目追加で合計17項目)。項目の詳細はこちら。
- 地方自治体によっては独自の追加項目あり
- 認定を受けているか、いないかのどちらかしかない(例えば、16項目中8項目はクリアしていたから50点、といった採点は無し。認定か不認定かだけ、ということ)
- 申請書類は、公益財団法人マンション管理センターが実施する事前確認講習を受講したマンション管理士が事前確認を行う(制度上は事前確認無しで直接申請することも可能だが、自治体によっては事前確認必須としていることもある他、認定基準を理解している人がチェックしないと申請したけど不適合でした、となりかねないので実質的には事前確認は必要)
【マンション管理適正評価制度】
- 実施主体は一般社団法人マンション管理業協会(管理会社の団体)
- マンションの管理状態や管理組合運営の状態を6段階で評価
- 登録の有効期間は1年
- 登録するメリットとしては、①管理組合の目標・方針設定がしやすくなる、②管理業協会ホームページの他、不動産仲介業者の自社サイト等で管理評価が掲載される(中古市場でアピールポイントになる)
- 評価項目は30項目あり、評価ポイントの合計点によって星0~5の6段階で評価される。評価項目・配点はこちら。
- 評価・登録業務に係る講習を修了した管理業務主任者又はマンション管理士(評価者)に評価・登録業務を委任する。受任者(評価者)は、管理業協会の適正評価サイトに情報を入力する。
認定基準・評価基準は?
管理計画認定制度、マンション管理適正評価制度、それぞれの項目の判定基準・配点は以下のとおり公開されています。
全部書くとかなり長い(そしてめちゃくちゃ細かい)のでリンク貼ります。
【管理計画認定制度】
各項目のチェックポイントはマンションの管理の適正化の推進に関する法律第5条の3に基づくマンションの管理計画認定に関する事務ガイドラインに記載。
【マンション管理適正評価制度】
それぞれ読み込むとわかりますが、結構基準が細かいのでちゃんと理解している人がチェックしないと抜け漏れがでます。
管理計画認定制度とマンション管理適正評価制度のメリットは?
管理計画認定制度とマンション管理適正評価制度、認定を受ける・高評価を獲得することでどちらも中古市場でのアピールポイントになるのはもちろん、管理計画認定制度については具体的なインセンティブがあります。
【管理計画認定制度】
①住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォーム融資の借入金利が年0.2%引き下げ。5,000万円を10年間、元利均等返済で借りたら返済額が約52万円少なくなる。(すまい・る債の積立を行っている場合は更に年0.2%、合計で年0.4%引き下げ)
②すまい・る債の利率が0.05%上乗せ(令和5年度募集分から)
③フラット35の借入金利が当初5年間、年0.25%引き下げ(3,000万円を35年間元利均等返済で借りた場合、総支払額が約38万円少なくなる)
【マンション管理適正評価制度】
現時点で金銭的なインセンティブは無し。
但し、大手不動産仲介業者の東急リバブル、三井のリハウス、ノムコム(野村不動産ソリューションズ)、アットホームらが既に自社サイト等でマンションの評価状況を掲載しており、中古市場でのアピール効果は大きいと思います。
管理計画認定制度とマンション管理適正評価制度の手続きの流れ
現実的には、事前確認を行うマンション管理士や、登録申請を行う評価者(管理会社等)のサポートを受けながら手続きを進めることになると思いますが、大まかな流れは以下のとおりです。
【管理計画認定制度】
- 管理組合の集会(総会)決議が必要
- ①マンション管理士による事前確認→②事前確認適合証の発行→③地方自治体への認定申請→④認定通知書の発行※自治体によっては①②は省略していきなり③の手続きも制度上は可。但し、認定基準をきちんと理解している人が確認をしないと申請したけど不適合(不認定)でした、となる可能性が高いため、基本的には①事前確認からの手続きを推奨。
- 事前確認から認定申請までオンライン(管理計画認定手続支援システム)で行う
【マンション管理適正評価制度】
- 管理組合の集会(総会)決議が必要
- ①評価者による登録申請→②評価結果公開→③管理組合への評価結果確認・通知
管理計画認定制度とマンション管理適正評価制度にかかる費用は?
管理計画認定制度とマンション管理適正評価制度への参加は、それぞれ以下の金額がかかります。
なお、金額については今後変更となる可能性がありますので、申請の際は都度ご確認をお願いいたします。
【管理計画認定制度】
- 事前確認先(マンション管理センター)への手数料 10,000円(システム利用料)+10,000円(事前確認審査料)=20,000円
- 自治体への認定申請手数料(事務手数料)※自治体による。横浜市は3,900円、東京都はオンライン申請なら4,100円等(2023年4月現在)
- 認定通知書等の郵送料
その他、加算手数料(長期修繕計画書が複数ある場合等)、変更申請(認定後に長期修繕計画・管理規約・その他に変更があった場合の手数料)、更新申請(5年の有効期間を迎えた際の更新事務手数料)等がかかります。
【マンション管理適正評価制度】
- 登録料 5,500円
- 評価申請手数料(評価者毎の自由設定)
私が管理計画認定制度・マンション管理適正評価制度に前向きになったワケ
冒頭で「正直私はあんまりこの制度に乗り気ではなかった」というお話をしましたが、それが手の平を返した理由を少し。
この話はちょっとマンション管理に携わっている人じゃないと難しいかもしれないので読み飛ばしていただいても構いません。
理由は2つで、
- 組合に具体的な金銭的インセンティブがついた
- 「予備認定」制度でデベロッパーの一時金設定を潰した
この2つで国の本気度がわかったから。
①はまぁアタリマエのことですが、制度に実効性を持たせるなら罰則付けるかインセンティブ付けるかしかありません。
それが制度の発表当初は「まだインセンティブは決まってません」という状態だったので、あー、また”やってる感”出したいだけなのかな、と思ったわけです。
更に重要なのが②。
どういうことかというと、我が国ではマンションの管理不全が叫ばれて久しいわけですが、その諸悪の根源ともいえるのが、【デベロッパーのデタラメな初期設定】です(少なくとも私はそう思っています)。
分譲時に売りやすくするために修繕積立金の当初の徴収額を異常に安くし、大規模修繕工事等の際に”一時金”を徴収して賄う設定で長期修繕計画を作成する、という手法が横行しています。
マンション管理に携わったことがある方ならおわかりいただけると思いますが、普通のマンションで管理組合が予定通り全戸から漏れなく一時金を徴収するなんてことはほぼ不可能で、その計画が”絵に描いた餅”であることは明らかです。仮にできたとしても管理組合(理事会)が多大な労力をかけることになるので、その負担を組合に押し付けるのは誠実な態度とは言えません。
さて、前置きが長くなりましたが、今回の管理計画認定制度では、「予備認定」という新築マンションを対象とした制度も設けられており、認定基準で「長期修繕計画において将来の一時的な修繕積立金の徴収を予定していないこと」という項目があります。
長期修繕計画に一時金の計画を入れた時点で不認定(不適合)ですから、この制度によってデベロッパーによる一時金の設定が潰せるわけです。
管理計画認定制度への適合・マンション管理適正評価制度の高評価獲得を目指す方はご相談を!
管理計画認定制度・マンション管理適正評価制度についての説明が長くなりましたが、どちらも「不認定だったね」「低い評価だったね」で終わるのではなく、管理組合が認定・高評価獲得を目指し、管理状況を改善していくことが制度の趣旨です。
認定・高評価獲得を目指すには、管理規約や長期修繕計画の見直しのための総会議案書の素案の作成や、理事会での合意形成等が必要となりますが、現時点で管理計画認定制度・マンション管理適正評価制度参加に向けた管理組合へのサポート体制にあまり前向きではない管理会社も多いのが実情です。
その場合、腰が重い管理会社とケンカをしても十分なサポートが受けられず時間と労力ばかりかかる…ということになりかねません。
両制度への参加・高評価獲得を目指したいけど管理会社があまり前向きではない、ということでお困りの方は、私の方でもサポート可能ですので、是非お問い合わせフォームから一度ご相談ください。
会社としての人事評価制度の問題だと思いますが、腰の重い管理会社や担当者とケンカをしても意味が無いですから、そこでヤキモキするくらいなら私が代わりに頑張るので呼んでほしいなと思うわけです。
管理計画認定制度とマンション管理適正評価制度の違いまとめ
今回は管理計画認定制度とマンション管理適正評価制度の違いについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
私自身も記事を書くことで、両制度の仕組みや手続きについて頭の中を整理することができました。
また、管理計画認定制度の組合・組合員に対するインセンティブは今後も増えていくと予想されますので、少しでも興味を持たれた方はぜひチャレンジしてみてくださいね。