2021年4月15日に発生した、新宿区のマンションの機械式駐車場の二酸化炭素消火設備の放出による死亡事故。
昨年12月、今年1月に続き、痛ましい事故が再発してしまいました。
自分のマンションの機械式駐車場でも同じ事が起きてしまうのでは…と心配な方も多いはずです。
そこで今回は、
- 二酸化炭素消火設備の放出事故は何故起きるのか
- 事故を防ぐにはどうすればよいか
- なぜ危険性の高い二酸化炭素が使用されるのか
- 他に危険な設備はないのか
についてお話したいと思います。
このような事故を繰り返さないために。
是非ご一読をお願いいたします。
二酸化炭素消火設備で事故が起きる原因
そもそも二酸化炭素消火設備って何?という方もいらっしゃると思いますので簡単に説明すると…
火災発生時、手動(ボタンを押して作動させるもの)もしくは自動(感知器で煙や熱を感知して作動するもの)で、二酸化炭素を放出して消火を行う設備のことをいいます。
二酸化炭素消火設備の詳しい仕組みはこちらで解説されていますので、まずはこちらをご覧ください↓↓
今回新宿区のマンションの機械式駐車場で発生した二酸化炭素消火設備の放出事故で考えられる原因としては、
- 誰かが誤って起動ボタンを押した
- 工事の熱や粉塵で感知器が作動した
- 工事の際に誤って感知器の配線を傷つけて短絡(ショート)させた
等が考えられますが、わざわざ起動ボタンを押す人はいないでしょうし、ニュースによると「天井の工事をしていた」とのことですので、②か③の可能性が高いのではないかと思います。
私も宅内工事で感知器短絡させてベテランの職人さんにドヤされた経験があります…(宅内に二酸化炭素消火設備は無いので警報音が鳴るだけですが)
二酸化炭素消火設備の事故を防ぐには
上記②③であると仮定して、二酸化炭素消火設備の事故を防ぐには、感知器が作動しても二酸化炭素が放出されないように工事前に二酸化炭素本体容器と起動用ガスが繋がる導管を外す、閉止弁を閉じる等の安全対策を講じておけば、実際に二酸化炭素が放出されることは無いため、確実に事故は防げます。
組合でできることについて結論を言ってしまえば、
- マンションに二酸化炭素消火設備が設置されているか確認する
- 非常停止ボタンの場所を確認する
- もし二酸化炭素消火設備の作動を知らせる警報音が鳴ったらすぐに避難するよう周知する
- 設置されている付近を工事する際は必ず消防設備士(三類)を立ち会わせる
です。
消防庁からの通達にも具体的に記載されている事項が2つあるので解説します。
①消防設備士(三類)を立ち会わせる
事故が起きてしまった二酸化炭素消火設備ですが、日頃から消防設備点検を行っている消防設備士が立ち会っていれば、工事開始前に上記のような安全対策をとれますし、万一二酸化炭素消火設備が作動してしまったとしても非常停止や避難を促すことができます。
二酸化炭素消火設備が設置されている機械式駐車場周辺等の工事を行う際には、工事を発注する前に消防設備士(三類)の立会いが見積書に含まれているか確認する、もし含まれていなければ必ず立ち会わせるようにしてください。
気持ちはわかるんです。私も知識が足りない若い頃は色々な見積書を見て「この費用削れないかな…」とかよく思っていました。
ただ、人命に関わります。必ず三類の消防設備士を立ち会ってもらいましょう。
②安全対策の周知を徹底する
消防庁の通達では、工事開始前に作業従事者に安全対策の説明を徹底するよう記載されています。
ただ、普段から消防設備点検等で二酸化炭素消火設備に触れていない人が確実に操作できるか、危険性を正しく認識できるかというと疑問ですので、やはり消火設備士(三類)を立ち会わせるのが確実だと思います。
二酸化炭素消火設備が使われる理由
死亡事故が起きているのになんで二酸化炭素を使用するのか?と疑問に思う方も多いと思います。
私も疑問に思ったので消防設備士の吉村さんに聞いてみました↓↓
簡単に言うと、消火能力が高いから、ということのようです。
今後法改正等もあるかもしれませんが、現時点では【工事等の際は消防設備士(三類)を必ず立ち会わせる】を徹底するしかないと思います。
他に危険な設備は無いの?
もう1つ、「マンションにこれだけ危険な設備が付いているってことは、二酸化炭素消火設備の他にも危険な設備があるのでは…」と不安に思った方もいると思います。
これについても消防設備士に聞いてみましたが、マンションに設置されている消防設備で直接人命に関わるものは二酸化炭素消火設備くらいのようです。
まずは自分のマンションに二酸化炭素消火設備が付いているか、ついているのであれば非常停止ボタンの場所を確認するようにしましょう!
二酸化炭素消火設備の放出事故まとめ
今回は、新宿区のマンション機械式駐車場で発生した二酸化炭素消火設備放出事故の原因、再発防止策等についてお話しましたが、いかがでしたでしょうか。
繰り返しになりますが、管理組合・理事会で取れる対策としては
- マンションに二酸化炭素消火設備が設置されているか確認する
- 非常停止ボタンの場所を確認する
- もし二酸化炭素消火設備の作動を知らせる警報音が鳴ったらすぐに避難するよう周知する
- 設置されている付近を工事する際は必ず消防設備士(三類)を立ち会わせる
です。
痛ましい事故を繰り返さないために、理事会で確認してみてください。