前回の記事では、修繕積立金の値上げが必要な理由や相場等についてお話ししました。
絶対に値上げは必要、というのが結論なのですが、現実的には値上げについていけず払えない(払わない)長期未収納者が発生…なんてことは珍しくありません。
「家計が結構厳しいのだけど、修繕積立金はどこまで上がるの?」
「修繕積立金が払えない(払わない)とどうなるの?」
「修繕積立金が値下げされることってないの?」
そんな疑問をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。
そこで今回は、
- 修繕積立金はどこまで上がるのか
- 払えない(払わない)とどうなるのか
- 値下げされることはあるのか
についてお話ししたいと思います!
修繕積立金はどこまで上がる?
どこまで上がるか、と言われるとケースバイケースなので何とも…なのですが、一応の目安としては前回もお話ししたマンションの修繕積立金に関するガイドラインに記載されている㎡単価200円ちょっと(70㎡の住戸なら70㎡×200円=14,000円ちょっと)が一つの目安。
で、豪華な共用設備(特に噴水やプール等の水関係)が付いていたり機械式駐車場が付いてるともっと必要で、ハルミズムさんはタワマンなら㎡単価300円は必要という考えをお持ちとのことなので…
修繕積立金がどこまで上がるか、というと、
㎡単価200円~300円くらいの間に収まるのが一般的と言えるのではないでしょうか。
70㎡の住戸なら月額14,000円~21,000円といったところですね☆
尚、管理費の方ははるぶー先生が面白いデータを持っていて、
- 坪200万円のマンションなら㎡単価200円、坪300万円のマンションなら㎡単価300円くらい
- マンションの分譲価格が、購入者の世帯年収の5倍程度と仮定すると世帯年収の2%くらい
になるように設定されているケースが多いそうです!
となると、管理費・修繕積立金の月額は大体の予測ができて、例えば坪250万円・70㎡と仮定すると、
管理費:㎡単価250円×70㎡=17,500円
修繕積立金:㎡単価200~300円×70㎡=14,000円~21,000円
⇒合計で月額31,500~38,500円くらいまでは上がるだろうな、という予測が成り立つわけです。
あとは長い間値上げをせず築20年くらいまで来てしまい、いざ大規模修繕工事が必要になってもお金が足りず、融資を受けるためにやむを得ず爆上げ、というパターンも。
修繕積立金の値上げで払えないとどうなる?
修繕積立金値上げ後に払えない(払わない)場合は地下労働制施設行き
地下労働してでも支払ってもらいたいところですが、今のところ日本には人権があることになっているのでそうもいきません。
滞納した場合の大体の流れ
- 1~3ヶ月 管理会社から電話や督促状が来る
- 6ヶ月 管理会社や理事長名の内容証明郵便が届く
- 6ヶ月以降 総会決議により議事録等で氏名を公表される、訴訟を提起される、競売に掛けられる
→何故6ヶ月以降の対応が厳しくなるかと言うと、管理会社との管理委託契約書の中で、【6ヶ月目までは督促を行うが、それ以降は免責(=管理組合側で督促しないといけない)】という取り決めがあることが多いから。
で、管理費・修繕積立金は最初の滞納から5年で時効が成立するため、管理組合からするとさっさと回収、最悪でも時効を中断させたいという思惑があるので、6ヶ月を超えると督促が厳しくなります。
家計が厳しくてもきちんと払いましょう。
大体こんな感じです。
逆に管理組合側からすると、言っても払わない(払えない)人に督促するのは手間がかかるしメンドクサイので、ぶっちゃけさっさと売却して新所有者が全額払ってくれよがホンネ。
この場合、管理組合側が取れる手段は次の通り。
①競売、強制執行前に任意の請求または訴訟を提起する
弁護士名で内容証明郵便を送り、それでも払わない(払えない)場合は少額訴訟を提起する方法。
これでも支払いが無い場合は改めて競売や強制執行申立が必要になります。
大手~中堅クラスの管理会社さんなら顧問弁護士がいると思いますので、早めに相談しましょう。
②先取特権(区分所有法第七条)に基づき競売を行う
上記の方法を取らず出会って4秒で競売
いきなり区分所有法第7条に基づいて競売手続きを行う方法もあります。
区分所有法第七条
区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする。
但し、抵当権付きの住宅ローンや滞納税金等債権などの合計額がマンション(当該住戸)の価値よりも大きい場合は滞納している修繕積立金を回収できないため、競売を継続する意義が乏しいとして裁判所に競売手続きを取り消しされる可能性があります。
また、競売申立には予納金等で70万円~100万円程度の費用が必要ですが、予納金については競売が取り消しされると全額の回収は難しくなるというリスクがあります。
③区分所有法第五十九条に基づき競売を行う
いわゆる【59条競売】です。
「区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるとき」に限定されるため、ハードルはかなり高め。
追い出してしまいさえすれば新所有者が払ってくれる見込みが立つので組合としてはガンガンいこうぜ!と競売に掛けたいところですが、世の中そううまくはいかないのが実情です。
値下げされることはあるの?
修繕積立金の値下げというパターンもあるにはありますが、珍しいと思います。
というか、状況がかなり限定される。
例えば、
- 第12期に大規模修繕工事を計画しているが、第9期に実施した建物調査診断で「2~3年以内に工事しないとマズい」というような結果が出た
- 今まで修繕積立金の値上げをしておらず、修繕積立金が全然足りない
- やむを得ず第10期から爆上げして積み立てを間に合わせる
- 第12期に無事大規模修繕工事が完了
- 第13期に長期修繕計画書の見直しをすると、今の金額で積み立てると将来的にだいぶ修繕積立金が余りそう
- 次回・次々回の大規模修繕工事を賄えるくらいの金額まで値下げ
というケースくらいでは?
修繕積立金はどこまで上がる?まとめ
今回は修繕積立金がどこまで上がるのか、払えない(払わない)場合はどうなるのか等についてお話ししましたが、いかがでしたでしょうか。
修繕積立金は分譲時の設定金額が安いために、値上げをすると払えない(払わない)人がどうしても出てきます。
督促される方もする方も気持ちの良いものではありませんし、修繕積立金を払えない!となる前に、大体どこまで上がるのか予測をしてマンションを購入するようにしてくださいね~☆