業界の内側を知らないので変なコメントなら申し訳ないのですが、マンション管理士の資格を持つフロントさんはいないのでしょうか?管理会社の中にいるマンション管理士ではあまり意味はないですかね?
マンション管理士資格が創設され早20年、それでもまだまだ認知度が高いとは言えないマンション管理士という仕事。
名前は聞いたことあるけど、いったい何をする仕事なのか疑問に思ったことはありませんか?
「マンション管理士って何をするの?」
「管理会社があるのに、なんで必要なの?」
「管理会社のマンション管理士じゃダメなの?」
「今のままで特に問題ないからいらないのでは…」
そんな疑問をお持ちの方も多いはずです。
そこで今回は、
- マンション管理士とは何をする仕事なのか
- どうして管理会社ではダメなのか
- 今は問題が無いからこそ必要
というお話をしたいと思います!
マンション管理士って何をするの?
公益財団法人マンション管理センターによると、「マンション管理士とは、マンション管理士試験に合格し、マンション管理士として登録を受け、マンション管理士の名称を用いて…」
長いわ。
マンション管理士、なかむーは何やるの?という話は↓↓の記事でも触れたので興味ある方は読んでみてください。
私は一言でいえば「理事会・総会のファシリテーター」が役割だと思ってます。
単に「専門的知識を持って助言」するだけなら管理会社でも十分なんですが、基本的な管理会社のスタンスとして「決めるのは管理組合ですから」というのがあります。
これは管理会社に勤めた経験のある方からしたら「当たり前」なんですが、要するに基本的な選択肢の提示はしてくれても優秀且つ良心的なフロントさんでもない限りその組合に取っての最善策をチョイスできるような、いわゆる「ファシリテーション」まではしてくれないわけです。
このあと詳しく解説していきます。
何故、管理会社ではダメなのか
ちょっと語弊があると思うので予め申し上げておくと、「管理会社がダメ」という意味ではなく、「管理会社とマンション管理士では役割が違う」というのがここでのお話。
多くの管理会社で採用している標準管理委託契約書別表を見ていただくと、
- 会計
- 出納
- 維持修繕に関する企画・実施の調整
というようなことが書かれています。
時々管理会社は言えば何でもやってくれる便利屋みたいに勘違いしている人がいますが、管理会社のメインの仕事(基幹事務)は会計・出納と維持修繕の企画です。
そしてその基幹事務以外の業務として理事会支援業務という項目がありますが、理事会支援の内容として「甲(管理組合)が乙(管理会社)の協力を必要とするときの理事会議事に係る助言」とあります。
つまり協力を求められれば「助言」はしてくれますが、組合が「良い選択」をできるように話を整理したり、誘導したり、嫌われ役を買って出てまで合意形成を手伝ったりはしないです。
これが先に述べた「決めるのは組合ですから」というスタンスの根拠。
つまり管理会社がそこまで組合のお世話をするのはムリです(契約書もそうなっているし)。
そもそもインセンティブが無い
「管理会社にマンション管理士はいないんですか?」というご質問もありましたが、答えを言うと、管理会社にもマンション管理士資格を持った人はたくさんいます。
で、↑で述べたように「そこまで面倒見切れない」という理由の他にも管理会社の管理士じゃダメな大きな理由がありまして…
フロントさんが管理状況を適正化する「インセンティブが無い」のです。
どんなに管理組合のためになるような仕事をしてお客さんから評価をされても、会社からの評価に結び付かない。
どんなにお客さんに評価されても会社は工事等の売上・差益でしか評価しません。
それどころかお客さんのウケが良い=「重い」物件(業務量が多かったり要求のハードルが高い)をあてがわれますから、会社に評価されるための工事は余計に受注が難しくなり、ハッキリ言って仕事できないヤツの方が社内で評価が高くなるなんてことがザラです。
結果、会社員として普通に考えればやらない方が得という「やらない方向へのインセンティブ」しかないのです。
そしてどこの管理会社もこの評価制度の改善は諦めて「一流は捨てて辞めない二流の社員をたくさん作る」方向にシフトしており、今後更に(組合から見て)優秀なフロントさんは減っていくと私は見ています。
これが、管理状況の適正化をきちんとやりたければファシリテーション能力のあるマンション管理士を使ってください、と主張する理由です。
マンション管理士を使ってでも解決してほしいこと
では話を戻しまして…
マンション管理士とはなんぞや?というと、件のマンション管理センターによれば「マンションの管理を適正に行っていくためには…(中略)適正なアドバイスを行うことができる専門家が必要です」とのことですが、
中でもプロとして特に積極的にアドバイスをしなければならない、最重要事項の1つが「修繕積立金の適正化」です。
詳しくはこちらで書いてますので読んでみてください↓↓
はい。これだけはどんなマンションであっても絶対にやらなければなりませんし、逆に言えばここさえきちんとしてしまえば、極端な話その他は枝葉末節、後から何とでもなりますが、修繕積立金だけは時間との勝負で後からどうにかするのはほぼ不可能です。
もちろん理事会だけで解決できているマンションもありますが、ここだけはマンション管理士を使ってでも解決してほしいなぁ…と思っている今日この頃です。
手遅れになると建物だけじゃなくて色々荒みますよ。本当に。
マンション管理士って必要?まとめ
今回はとても良いご質問をいただいたので、それにお答えする形でお話ししてみましたが、いかがでしたでしょうか。
「わざわざお金を払ってまで…」と思われるかもしれませんが、10年、20年先のことを考えればその価値はあるよね、と私は思うのでこの仕事をしているわけで…
せっかくマンションを購入されたわけですから、マンション管理士を使って将来の「火種」を早期に潰してしまってほしいなと思っています。
少しでも興味を持っていただけましたらうれしいです。