マンションの理事会役員に選任され、役員報酬(手当)を支給されたけど、これって確定申告が必要なのか心配になったことはありませんか?
「毎月理事会に出るたびに役員報酬(手当)を貰っているけど、税金は払わなくていいの?」
「マンションの管理費に税金はかからないの?」
「マンションの管理組合(理事会)で税金を納める必要ってあるの?」
そんな疑問にお答えするため、今回は
- 理事会の役員報酬(手当)は確定申告が必要か
- 管理費等に消費税は課税されるか
- マンション管理組合で税金の納付が必要な事例
についてお話ししたいと思います!
理事会の役員報酬(手当)は確定申告が必要か

国交省が行っている平成30年度マンション総合調査によると、全体の2割ほどのマンション管理組合で支給している役員報酬。
全体では、「報酬は支払っていない」が73.3%で最も多く、次いで「役員全員に報酬を支払っている」が23.1%となっている。
出典:平成30年度マンション総合調査結果(95ページ)
正直なところ、私も税金関係はあまり明るくないため、ネットで「マンション 管理組合 役員報酬 確定申告」と検索してみました。
すると、
- マンション管理組合は給与支払事務所としての届け出が必要
- マンション管理組合が源泉徴収して納税が必要
というのが一般論のようです。
・・・。
ホンマでっか??

というわけで、私の事務所がある「川崎北税務署」に電話をかけて聞いてみました。
なかむー「マンション管理組合の役員報酬って、納税や確定申告が必要なんでしょうか?」
税務署員A「えー、マンションの役員報酬って、給与になるんですか?」
なかむー「いえ、給与にあたるのかもわからないのでその点もお尋ねしたいのですが…。私としては、マンション管理組合は営利を目的とした法人ではありませんし、理事との雇用関係もなく、本来区分所有者全員が公平に負担すべき業務を数名の理事が引き受けてくれたことに対する謝礼といった意味合いが強いので給与にはあたらないのではないかと思うのですが…」
税務署員A「あー、詳しい者に代わるのでちょっと待ってくださいね」
(30秒後、税務署員Bに代わる)
税務署員B「管理組合の従業者として報酬を受けているのであれば源泉徴収して翌月までに納付する必要がありますが…役員の方は他にお仕事されていないわけですよね?」
なかむー「いえいえ、みなさんサラリーマンですとか、他にお仕事をされている他に、管理組合の業務をされています。先ほどの方にもお話ししましたが、管理組合と理事会役員との間に雇用関係は無く、従業員ではありません。」
税務署員B「それであれば給与所得ではないので源泉徴収は必要ありませんね。雑所得になります。金額としてはどれくらいとか決まっているんですか?」
なかむー「マンションによって違いますが、大体月額1,000円~10,000円くらいですかね」
税務署員B「そうしますと、その他の所得と合わせて20万円以下であれば申告不要です。20万円を超えるようなら確定申告が必要になります」
なかむー「わかりました。ありがとうございました~」
だいたいこんな感じです。
絶妙に会話がかみ合いません。
そもそも論として、「マンションの管理組合とはどういったものか」がわかっていない人の回答を鵜呑みにして良いものか…
私が問い合わせた川崎北税務署の回答は「給与所得ではないので源泉徴収は必要なく、年間20万円以下であれば確定申告も不要」というものでしたが、ネットで調べると真逆の回答がたくさん出てきますので、所轄の税務署にご確認をお願いいたします。
マンションの管理費は税金の課税対象になるか

理事会の役員報酬とはまた別問題ですが、毎月支払っている管理費は税金(消費税)の課税対象になるのかという問題があります。
マンション管理士試験や管理業務主任者試験では頻出の論点ではありますが、一応、国税庁の回答をおさらいします。
マンション管理組合は、その居住者である区分所有者を構成員とする組合であり、その組合員との間で行う取引は営業に該当しません。
したがって、マンション管理組合が収受する金銭に対する消費税の課税関係は次のとおりとなります。イ 駐車場の貸付け………組合員である区分所有者に対する貸付けに係るものは不課税となりますが、組合員以外の者に対する貸付けに係るものは消費税の課税対象となります。
ロ 管理費等の収受………不課税となります。
管理費等については国税庁からはっきりと、「不課税」との見解が出されていますのでご安心を。
マンション管理組合で税金の納付が必要になる場合
今度はマンションの区分所有者「個人」ではなく、「管理組合」として税金の納付が必要になる事例をご紹介します。
事例①駐車場を外部貸しする場合

マンションの区分所有者や居住者については、国税庁から以下の見解が出されています。
↓↓↓
要するに、区分所有者以外に賃貸(外部貸し)する場合は収益事業に該当し、法人税の課税対象になります。
税理士に依頼する等して納税を行いましょう。
事例②屋上に基地局等を設置して賃料収入を得る場合

マンションの屋上を見ると、携帯電話やインターネット通信事業者のアンテナ基地局が設置されていることがあります。
これも収益事業に該当し、法人税の課税対象になります。
数年前まで賃料相場は1基あたり月額10万円前後を提示される事も多かったのですが、最近では月額3万円程度で申し入れてくる事業者もあります。
税理士費用等も考えると手元に残る収益はわずか…という可能性もありますので、これから基地局を設置する組合は条件面の交渉をしっかり行うようにしましょう。
事例③競売等により管理組合法人がマンションの専有部分を取得した場合

はい、マンション管理狂い向けのレアケースです。笑
そんなに多いパターンではありませんが、競売にかかった専有部分を、何らかの理由で管理組合法人が競落する事が稀にあります。
(例えば、専有部分の損壊が進んでいて、放置すると事故につながる危険性があるため、管理組合側で取得して早急に修繕や取壊しが必要な場合等)
このような場合、通常の不動産取引と同じく不動産取得税と固定資産税が掛かりますので、税理士に依頼するなどして納税を行いましょう。
マンション理事会の報酬は確定申告が必要かまとめ
今回はマンション理事会の役員報酬や、確定申告が必要か否か、その他税金を納付する必要があるかについてお話ししましたがいかがでしたでしょうか。
マンション理事会の役員報酬(手当)については実際に税務署に電話で確認してみましたが、ネットで検索すると逆の見解もたくさん出てきます。
個別のケースによっても確定申告や納税が必要かどうかは変わってくると思いますので、迷った時は税務署にご確認をお願いいたします☆