マンションの理事会や総会でよく出てくる会計担当理事という言葉。
いったい何をするのか気になったことはありませんか?
「総会で会計担当理事に選任されたけど、何をすればいいの?」
「いきなり会計と言われても、簿記なんてやったことないし…」
「会計って管理会社がやってたような…」
そんな疑問をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。
そこで今回は、
- 理事会の会計担当理事の役割
- 実際の会計担当理事の業務内容
- 収支報告書の作成
についてお話ししたいと思います!
理事会の会計担当理事の役割
前回お話しした書記担当と違い、会計担当理事についてはマンション標準管理規約にも記載されています。
マンション標準管理規約第35条
管理組合に次の役員を置く。
一 理事長
二 副理事長 ○名
三 会計担当理事 ○名
四 理事(理事長、副理事長、会計担当理事を含む。以下同じ。) ○名
五 監事 ○名
で、会計担当理事が何をするのかと言うと…
マンション標準管理規約第40条3項
会計担当理事は、管理費等の収納、保管、運用、支出等の会計業務を行う。
疑問に思う方もいらっしゃると思うので、先に言うておきます。
簿記の知識をお持ちの方じゃないと絶対無理です。
管理委託費高いなーとか、あの管理会社なにもやってくれなくてムカつくなーとか、色々ぶつくさ言いながらもほとんどのマンションが管理会社を入れざるを得ない理由がこれです。
管理会社がいる場合
管理会社がいる場合はさほど手間はかかりません。
何故なら、会計担当理事がやる業務はほぼ全て管理会社がやってくれるからです。
マンション標準管理委託契約書 別表第1より抜粋
(1) 管理組合の会計の収入及び支出の調定
① 収支予算案の素案の作成
② 収支決算案の素案の作成
③ 収支状況の報告
(2)出納(※「甲」は管理組合のこと)
① 甲の組合員が甲に納入する管理費、修繕積立金、専用使用料その他の金銭 (以下「管理費等」という。)の収納
② 管理費等滞納者に対する督促
③ 通帳等の保管等
④ 甲の経費の支払い
⑤ 甲の会計に係る帳簿等の管理
多くのマンション管理会社の契約書は、このマンション標準管理委託契約書を基に作られており、「基幹事務」と言われるこの別表第1の部分はどの管理会社でもほとんど一緒です。
ただし、最近では一部の管理会社の金銭事故を受け、現金の取り扱いは引き受けてくれない管理会社が増えていますので、その部分は必要に応じて会計担当理事が対応することになります。
例えば、ちょっとした集まりの時のお茶代や、エントランスに飾る切り花を買いたい時などに使う小口現金の保管については管理会社(管理員さん)は引き受けられないため、小口現金の管理とその帳簿の記入が会計担当理事の業務、ということになります。
管理会社がいない場合
地獄です。
冗談はさておき、かなり大変です。
現在、管理組合の会計基準として明確にこれが必要という会計報告書体系の定めはありませんが、未収金や未払金、前払金等の状況を正確に把握するには貸借対照表や財産目録はあった方が良いと思います。
ただ、これらの会計書類を作成するのは簿記の知識が無いと無理です。
管理会社に委託する場合と理事会でやる場合の違いをざっくり言うとこんな感じです。
管理会社に委託した場合
- 複式簿記(発生主義)
- 貸借対照表、財産目録あり
理事会でやる場合
- 単式簿記(現金主義)
- 貸借対照表、財産目録なし
単式簿記と複式簿記の違いは…細かい説明は割愛しますが、単式簿記はいわゆる「町内会の収支報告書レベル」、複式簿記はプロがやってる専門的な会計業務、といった感じで、普通「簿記」というと複式簿記を指すことが多いです。
理事会の負担も増えますし、後々のトラブルを避けるためにも、会計業務(管理委託契約書で言う「基幹事務」)だけは管理会社等の専門家にお願いした方が良いと思います。
収支報告書の作成について
それでも管理会社を入れる余裕が無く、会計担当理事がやるしかない!というマンションの場合、最低限「収支報告書」は作るようにしましょう。
理想は複式簿記で貸借対照表や財産目録まで作った方が良いですが、簿記の知識が無いと難しいので、誰でもできる「単式簿記」が簡単です。
単式簿記は家計簿や町内会の会計と同じで、「実際にいくら収入があっていくら支出したか」を記載すればOKです。
収支報告書の例
収入の部
科目 | 予算 | 決算 |
管理費 | 〇円 | 〇円 |
雑収入 | 〇円 | 〇円 |
・
・
支出の部
電気料 | 〇円 | 〇円 |
水道代 | 〇円 | 〇円 |
備品消耗品費 | 〇円 | 〇円 |
・
・
合計
〇円 | 〇円 |
書いてて思いましたけど、やっぱりこれをプロじゃない方にやってくださいというのは無理があるんじゃないかな…と改めて思いました。
マンション理事会の会計の役割まとめ
今回は理事会の会計担当理事の役割についてお話ししましたが、いかがでしたでしょうか。
マンションの会計は標準管理委託契約書でも「基幹事務」とされるくらい重要な業務です。
規模にもよりますが、基本的には管理会社にお願いした方がよいと思います。
また、管理会社がいる場合でも、小口現金の保管は理事会の会計担当理事の役割になりますので、帳簿を付ける等してきちんと管理しましょう!