マンションの理事会(管理組合)で、臨時総会を招集しようという話が出たけれど、そもそも臨時総会って何だろうと疑問に思ったことはありませんか?
「マンションの臨時総会ってどんな時に開催するの?」
「年に1回の通常総会とどう違うの?」
総会の議案書ではそこまで詳しくは書かれていないはずですので、疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、
- 臨時総会はどんな時に開催するか
- 理事会(管理組合)で議案書を作るときの注意
- 臨時総会を招集できる人
についてお話ししたいと思います!
マンションの臨時総会はどんな時に開催するか
マンションの総会は、年に1回決まった時期に開催される「通常総会(定期総会)」と、不定期に開催される「臨時総会」があります(区分所有法上は総会ではなく「集会」と記載されていますが、ここでは一般的に使われる「総会」で統一します)。
どんな時に臨時総会を開催するかというと、
- 期日や日程の計画が決まっている案件で、次の通常総会まで待てないもの
- マンションの破損等、大至急対応しなければならないもの
- 早く決めた方が管理組合にとってメリットがあるもの
これらの案件がある時に開催します。
【期日や日程が決まっているものの例】
- 大規模修繕工事を2ヶ月後には着工する計画を立てているが、次の通常総会の予定は半年後
- 次の通常総会までに保険料率が上がるため中途更改したいが、予算修正が必要となる場合
【大至急対応しなければならないものの例】
- 外壁タイルが何枚も浮いており、早く修繕しないと落下の危険性がある
- エレベーターが故障し、早く修理しないと生活に支障が出る
【早く決めた方が管理組合にとってメリットがあるもの】
- 空いている駐車場を外部に賃貸する
- 照明器具をLEDに交換して電気料を削減する
一般的には、これらのような場合に臨時総会を開催することになります。
臨時総会は「すぐ決める必要がある議案」がある時に開催する
理事会で臨時総会の提出議案を決める
臨時総会に提出(上程)する議案は、理事会で要領を決めて議案書を作ります。
議案書を作る時は5W1Hが明確になるように意識して作ると受け取った区分所有者に解り易くなります。
例えば、上記の例で「外壁タイルが何枚も浮いており、早く修繕しないと落下の危険性がある」場合、単に「外壁タイルを補修します」だけだと何故工事が必要で、どのような工法で、どこの工事会社に、いくらで発注し、いつ工事を行うのかがわかりません。
臨時総会開催日にどうしても都合が付かず、議決権行使書を提出して当日は欠席する方もいるので、議案書を読めば何をするのかほぼわかるように記載することを心がけるとトラブルを防止しやすいです。
目的があって意図的にやる分には良いと思いますが、輪番理事会で特に理由が無いなら5W1Hを明確にしておいた方が無難で、多くのフロントさんや管理士はこちらを推奨するのではないでしょうか。
マンションの臨時総会を招集できる人とは
区分所有法及びマンション標準管理規約上、臨時総会を招集できるのは理事長・区分所有者・監事のいずれかと定められています。
それぞれどのような場合に臨時総会を招集できるのか確認していきましょう!
理事長が臨時総会を招集する場合
もっともスタンダードなパターンです。
マンション標準管理規約第42条4項で、「理事長は、必要と認める場合には、理事会の決議を経て、いつでも臨時総会を招集することができる。」と定められています。
理事会で臨時総会に上程する議案の要領を決め、マンションの区分所有者に総会開催の案内をしましょう。
区分所有法第35条1項では、
「集会(総会)の招集の通知は、会日より少なくとも一週間前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸縮することができる。」
とされていますが、マンション標準管理規約第43条では、
「総会を招集するには、少なくとも会議を開く日の2週間前(会議の目的が建替え決議又はマンション敷地売却決議であるときは2か月前)までに、会議の日時、場所及び目的を示して、組合員に通知を発しなければならない。 」
とされており、区分所有法の1週間前から、管理規約で2週間前に「伸長」されています。
また、区分所有法第35条4項では、
「建物内に住所を有する区分所有者又は前項の通知を受けるべき場所を通知しない区分所有者に対する第一項の通知は、規約に特別の定めがあるときは、建物内の見やすい場所に掲示してすることができる。この場合には、同項の通知は、その掲示をした時に到達したものとみなす。」
とあり、
マンション標準管理規約第43条3項では
「第1項の通知は、対象物件内に居住する組合員及び前項の届出のない組合員に対しては、その内容を所定の掲示場所に掲示することをもって、これに代えることができる。」
と定められています。
臨時総会のお知らせ(通知)は必ずしも掲示しなければならないわけでは無いですが、住所変更の届け出をしないまま引っ越してしまい現住所がわからない方もいるので、現実的には多くのマンションで通知を発送した後掲示を行うのが一般的です。
区分所有者が臨時総会を招集する場合
理事長(管理者)がいない場合、もしくは理事長が総会の招集に応じない場合は、一定の条件を満たせば区分所有者が臨時総会を招集できますが、多くのマンションでは理事長が選任されていると思いますので、後者を前提にお話しします。
区分所有者第34条3項では、
「区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる。」
とされており、全体の五分の一以上の頭数と議決権があれば、理事長(管理者)に臨時総会の招集を「請求」できます。
この時点では飽くまでも「請求」できるに過ぎません。
続く区分所有法第34条4項では、
「前項の規定による請求がされた場合において、二週間以内にその請求の日から四週間以内の日を会日とする集会の招集の通知が発せられなかつたときは、その請求をした区分所有者は、集会を招集することができる。」
とされており、前項の「請求」をしたにも関わらず理事長(管理者)が応じない場合には、請求をした区分所有者が自ら臨時総会を招集することができます。
監事が臨時総会を招集する場合
マンション標準管理規約第41条3項で、「監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる。」とされています。
何となくお分かりいただけるかと思いますが、臨時総会は基本的には理事長が招集しますが、何らかの理由(職務放棄や不正)がある時の対抗策として区分所有者や監事による臨時総会招集が認められているというイメージです。
監事による臨時総会招集についてはこちらの記事で詳しくお話ししていますのでご参照ください↓
臨時総会はどんな時に開催するかまとめ
今回は、マンションの臨時総会開催についてお話ししましたが、いかがでしたでしょうか。
基本的には次の通常総会まで待たずに決める必要がある時に臨時総会を開催します。
できれば理事会等での話し合いで理事長に納得してもらい、理事長自ら臨時総会を招集してもらうのがベターですが、どうしても解決が難しければ区分所有者や監事も臨時総会の招集ができることを覚えておくと、いざという時役に立つかもしれませんね!