とはいえこの手の意見書ってどこまで対応するべきなのかって理事長さんからのご相談も多いし、一度整理しておこうか!
マンションの総会議案書が配られたので、理事会に意見書を出したり、総会で意見を言ったのに聞き入れてもらえず、どうすれば良いのか困ったことはありませんか?
また、逆に理事の立場で理事会への意見書を貰ったけど、どこまで対応しなければならないのか疑問に思った経験はありませんか?
意見を出す・要求する側も、出される・要求される側もよくわかっておらず「お気持ち」で話が拗れて泥沼化してしまうことも少なくありません。
「理事会に意見書を出したのに意見が通らない!」
「総会で意見を出したのに無視して話を進められた!」
「意見が通らないのは理事会の横暴だ!」
こんな意見をよく聞きます。
そこで今回は、
- マンションの総会で意見が通らない理由
- マンションの総会で意見を通す方法
についてお話ししたいと思います!
もし現在理事をされている方はそのような視点で読んでいただけると嬉しいです。
マンションの総会(理事会)で意見が通らない理由
さて、どうしてこの記事を書こうかと思ったかと言いますと。
ちょうどこの手のご相談が続いたのと、ご相談を受けてアドバイスしたところ「意見全部通りました!ありがとうございます!」というありがたいお声をいただいたから。
理事ではない一般の組合員からすると、総会・理事会で意見を出したのに通らないのって理事会の横暴に見えやすいのですが、意見が通らないのにはだいたい理由があります。
理由があるということは、その理由をクリアすれば意見を聞き入れてもらえる可能性が上がるわけです。
という訳で、意見を聞き入れてもらえないいくつかのパターンを見ていきましょう。
①そもそも無理
マンションの総会でよくある意見が「議案を一部修正してほしい」、「議案を取り下げて再検討してほしい」というもの。
結論から言うと、これはムリです(受け入れちゃってる組合もあるけど…)。
何故ムリなのかは前の記事、マンションの総会が荒れるのは何故?揉める原因と対策についてでお話しましたので詳しくはそちらを読んでいただきたいのですが、総会議案書が配られた後で(正確に言うと「総会前の最後の理事会が終了した後で」)、理事長権限で議案を取り下げることはルール上できないからです。
つまり、何か意見や要望があるのであれば、総会より前の理事会の時点で出しておかないとそもそも土俵に乗らないということ。
一般の組合員の方からすると「そうはいっても総会議案書を見ないと意見なんて言えないしどうすれば良いの?」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
先ほどルールのお話をしましたが、ルール上、理事会で議論していないことが総会議案に上がることは基本的にありません(規約にもよるのであり得ないとは言い切れませんが…)。
そうです。
理事会議事録をきちんと読めば書いてあるはずです。
もしくは、あなたの希望する施策について議論されていないなら理事会議事録にも書かれていないわけですから、その時点で通るかは別として希望を出すことはできますよね。
総会直前、もしくは総会当日に意見を言うということは、理事会側から「今まで理事会議事録も読まなかったくせに、今更文句言ってくるやつの言う事なんて聞く必要がない」と思われる可能性が極めて高い。
もっというと。
あなたが理事になって自分でやればいいですよねって思ってるはずです。
この点については後述します。
「あなたが理事になればいいじゃないですか」という至極真っ当な反論の余地が無いので、初期設定で立候補禁止はデベロッパーの都合じゃないのと訝ってしまいます…
逆に本気で議案を潰しにくる人はそのような手続きの不備を突いてくることが多いですね。
②【better】【should】の意見は基本的に通らない
さて、若干脱線しましたがルールのお話をしたところで。
意見が通らない理由を考える上で最も重要なのが【better】【should】の意見は基本的に通らないということです。
どういうことかというと、一口に「意見」と言っても様々なレベルがあって、理事会への意見は次の3つに大別できます。
- ○○した方が良い(better)
- ○○すべき(should)
- ○○ねばならない(must)
このうち、理事会からすれば③mustでないなら採用する「義務」は無い=理事会の裁量ですから、意見を出した人にとってはどんなに切実な問題であったとしても、理事会にとって興味が無い・優先度が低い意見は「ご自分で理事やって、どうぞ」となるわけです。
そういう立ち位置を理解せず、
「理事会は何もしてくれない!横暴だ!」
などと非難したらどうなるか。
私だったら「現理事会では不要と判断しておりますが、○○様が理事に就任された暁には是非ご検討をお願いいたします」と返しますかね。笑
もし自分で理事をやる覚悟が無いなら「ご多忙のことと存じますが、何卒お取り計らいのほど…」というのが筋ですし無難だと思います。
じゃあどういう意見が③mustに該当するかというと、例えば
- 前期総会で理事会への付託事項となっているのに放置している
- 総会決議に反している(例えば工事をすると決めたのに特段の事情なく発注を止める等)
- 規約や細則で明確に定められた職務を怠っている(細則で○年に一度抽選で駐車区画を入れ替えることと決められているのに抽選会をやっていない等)
- 消防法等関係法令違反を放置している
というケースです。
こう考えるとほとんどの意見は①betterか②shouldに該当するのではないでしょうか。
ただし、「法律上・規約上やる義務が無いこと」と「やっておいた方が無難なこと」は別ですし、あんまり無下にすると弁護士さんを連れてきて手続き上の不備を突いて理事会を倒しにくるなんて人もごく稀にいます。
①better・②shouldの意見はそれ自体は義務ではないものの理事会の支持率に直結するからやっておいた方が無難なものも多い、という点は頭の片隅に入れておいてください。
マンションの総会(理事会)で意見・要求を通すには?
ここまでのお話でお察しの方も多いかと思いますが、総会・理事会で意見を通そうと思ったらまずはお互いの立ち位置を正しく把握することが大切です。
そういったことを踏まえて、マンションの総会・理事会で意見や要求を通す方法を2つお話したいと思います。
自分で理事になる
毎度同じ結論で恐縮ですが…
間違いなく自分で理事になって取り組むのが最速且つ確実です。
前述のとおり標準管理規約準拠の規約であれば総会上程議案を決められるのは監事権限での総会招集を除いて理事会だけですから、自ら理事になって他の理事に根回しして、自分で総会議案書案を書いてしまうのが一番確実。
むしろ自分で理事をやらないなら立ち位置を弁えた方が良いと思います。
例えばですが、吉野家でメシ食ってるとき同列の客に「お冷入れて」って言ったら「は?テメェでやれや」ってなるでしょうし、店員に「もっと味濃くした方が良いよ」と言ってもそれは【better】という話でしかないから、希望を叶えたければ自分でお冷入れるなり自分で醤油かけるなりするしかないでしょう。
自分は運営に参加しないのに口だけ出して理事会を批評しちゃう人は、吉野家で隣の客がお冷入れてくれなかったり店員が味付け変えないからといって癇癪起こしちゃうのと同じくらい立ち位置に大きな勘違いがあると思った方が良いです。
ちなみに、役員の選任は総会決議事項=標準管理規約準拠なら候補者を決めるのは理事会ですから、自分で理事をやって改革するつもりであってもケンカして嫌われないよう言動に配慮すべきなのは言うまでもありません。
頭を下げてお願いする
自分でやる覚悟が無いなら「ご多忙のことと存じますが、何卒お取り計らいのほど…」というのが筋、というのは先ほどお話したとおり。
まぁそこまで切実な意見でもないし…というならこれで良いと思いますが、理事会からすれば義務(must)じゃないのに偉そうな態度で要求したらそりゃシカトされますよって話だけどここの判断がついてない方も結構多い。
各種法令や管理規約を読まないと①betterなのか②shouldなのか③mustなのかはわからないはずですから、もしあなたがそれらを読まずに意見を出そうとしているなら(=③mustだという根拠が示せないなら)、自分の意見は【①better】もしくは【②should】だと仮定してお願いベースで平身低頭に話をした方が意見が通る確率が上がるはずです。
先日ご相談いただいた方にもこのお話をしたところ、後日「総会でお願いした意見、全部通りました!しかも次期以降理事にならないかと推薦して貰いまして…相談してよかったです!」と嬉しい報告がありました。
意見を言う際は是非試してみてください。
マンションの総会(理事会)で意見が通らないまとめ
今回はマンションの総会(理事会)で意見が通らない理由と、意見の通し方についてお話してきましたが、いかがでしたでしょうか。
もし意見があるなら立候補して自分で理事をやるのが最速且つ確実で、それが出来ないのであれば言い方を考える必要があります。
今の理事会に意見や不満がある、という方は、良い機会だと思いますので一度理事に立候補してみてはいかがでしょうか。
やってみるとまた違った景色が見えてくるものですよ♪