今回は総会に参加しないと何が問題なのか説明していこうか!
マンションを購入すると年に一度は届く総会の招集通知。
みなさんは毎回きちんと参加していますでしょうか。
- 私には関係無い
- 私は興味が無いから興味のある人だけで決めればいいじゃん
- 不参加でも関係ないでしょ?
- ほっといてもやる気のある人が何とかしてくれるでしょ?
そんな風に考えてはいませんか?
もしそう考えているならかなりヤバい。
今回は、総会に参加(出席するか、委任状・議決権行使書の提出)しないと何が問題なのかについて解説します。
巡り巡ってあなたも困るから①極力出席するか、②出席できないなら最低限委任状か議決権行使書は出したほうがいいですよということです。
総会についてのルール
みなさんは、マンションの総会と聞いてどのようなものをイメージするでしょうか。
なんかいくつか議題があって、参加した人が多数決で決めてるんでしょ?というイメージの方も多いかと思いますが、学級会や町内の打合せなんかと決定的に違うのは、区分所有法という法律でルールが決まっていること。
そしてこの法律の重要なポイントは、管理組合は共有財産の維持保全を目的とした組織なので、管理組合は共有財産の維持保全に資する行動を取るであろうことを前提に作られている点。
つまり、共有者全員(もしくは、大多数)が主体的に参加していることを前提としてルールが作られているというのが非常に重要なポイントです。
具体的には↓の条文を見てください。
第47条 総会の会議(WEB会議システム等を用いて開催する会議を含む。)は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。
2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。
3 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。
一 規約の制定、変更又は廃止
二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの及び建築物の耐震改修の促進に関する法律第25条第2項に基づく認定を受けた建物の耐震改修を除く。)
三 区分所有法第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提起
四 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
五 その他総会において本項の方法により決議することとした事項
4 建替え決議は、第2項にかかわらず、組合員総数の5分の4以上及び議決権総数の5分の4以上で行う。
8 第3項第二号において、敷地及び共用部分等の変更が、専有部分又は専用使用部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分を所有する組合員又はその専用使用部分の専用使用を認められている組合員の承諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
9 第3項第三号に掲げる事項の決議を行うには、あらかじめ当該組合員又は占有者に対し、弁明する機会を与えなければならない。
10 総会においては、第43条第1項によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議することができる。
長くなりましたが、要するに総会を成立させるには全体の半数の出席(もしくは委任・議決権行使書の提出)が必要で、総会議案を可決するためには出席者全体の過半数の賛成が必要なところ、欠席の場合は議長に委任するか議決権行使書で賛意を示さなければ賛成としてカウントされません。
特に、標準管理規約第47条3項の特別多数決議なら欠席の人も全部含めて全体の3/4 以上の賛成が必要なため、不参加の人が1/4以上いたらその時点で出席した人が全員賛成していても議案は否決になってしまいます。
繰り返しますが、反対者が1/4以上ではありません。
「不参加」が1/4以上いたら何をどうやっても否決なのです。これでは正しく民意が反映されているとは言えないと思います(が、現行制度だとどうしようもないので不参加の人に参加してもらうしかないのです)。
先ほどお話ししたように管理組合(理事会)は共有財産の維持保全に資する行動をするのが基本なので、不参加=反対しているのとほぼ同じでそれだけで共有財産の維持保全に反する行動をしてしまっている可能性が極めて高いわけで、これがあなたが総会に興味が無かったとしても参加(出席、もしくは委任状か議決権行使書を提出)した方が良い理由です。
付け加えると、私が仮に反理事会の立場なら、反対票は投じずに「不参加」で総会自体の不成立を狙います。何故なら上記の現行制度で総会議案を潰そうと思ったらそれが一番確率が高いから。
それくらい「不参加」は重大な意味を持っているのです。
どこにでもいるイナゴやキリギリスのような人たち
という基本的なお話をしたところで。
法律とか理屈の話はわかっても、実際何がそんなに困るのよ?とピンと来ない人も多いと思いますが、マンション管理においてはぶっちゃけそんなに管理に興味が無いという「無関心層」の動向が実はものすごく重要です。
例を挙げます。
突然ですが、あなたの職場や学校にこんな人はいないでしょうか。
- 自分だけが良ければそれでいい
- 今だけ良ければそれでいい
- 権利ばかり主張して協調する気がまるでない
- ワガママが通らないと大きな声で怒鳴り散らす
- 都合が悪くなったら大きな声でごまかして逃げる
- 人の揚げ足を取るのが三度の飯より好き
- いっちょ前に文句ばかり言うけど自ら責任を取る気もないしその能力もない
- どれだけ他人に迷惑をかけようと自己顕示欲を満たすのが最優先
どうでしょう。
こういう「イナゴやキリギリスのような人」の顔が何人か浮かびませんか?
多くの人が周りに1人や2人はこういう人に心当たりがあるはずです。
イナゴやキリギリスみたいといっても一応人間として職場や学校にいるわけで、人間である以上、彼らのような人がマンションの管理組合に紛れ込んでしまうことも多いわけです。
そして、こういう人を放置しておくと、あなたの大切な財産であるマンションが食い荒らされることになります。
他人なら「関わらない」のが最善ですが、残念ながら区分所有者として財産を共有している以上「関わらない」というのは不可能で、こちらが関わりたくなくてもこういう人は放っておくと勝手に被害をまき散らしますし、先ほどお話ししたように現行制度だと特別多数決議の場合は興味のない人も強制的に母集団に参入されてしまいます。
もしあなたがマンションの総会に無関心で、出席も委任状・議決権行使書も出していないとしたら、意図せず「イナゴやキリギリスのような人」に加担してしまっている可能性があるという点も認識しておいてください。
自分の財産を守るために「実出席」が最善
といったところで要点を整理します。
- 現行制度においては無関心(興味のある人に任せるよという人)であっても総会成立や議案の決議要件の母集団として強制的に参入されてしまう
- 不参加(出席せず、委任状・議決権行使書も提出しない)だと、事実上反対票とほぼ同じ扱いでカウントされてしまう
- やる気のある人にお任せしたいのなら最低限委任状を提出するか、議決権行使書で賛意を示す
- 可能であれば実際に会場で出席して自分の目で状況を確かめる。おかしな人がいないかチェックするのが最善
というのが私の意見。
自分の目で見て判断するのが最善(法律もその前提で作られているし)ですが、どうしても多忙で時間が…でもやってくれる人がいるなら任せるよ、ということなら最低限委任状・議決権行使書で賛意は示した方が良い、というお話しでした。
自身の財産に関わることなので、総会にはしっかり参加しましょう!